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随筆『墨汁一滴』の名言「美しき花もその名を知らずして」正岡子規 

墨汁一滴 (岩波文庫)この記事は、正岡子規 『墨汁一滴』の名言を紹介します。

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正岡子規 『墨汁一滴』あらすじ

明治時代の俳人・歌人・国語学研究家である正岡子規の随筆。
1901(明治34)年に「日本」に164回にわたり掲載された。
寝返りを打つこともできない病状にありながら、
毎日墨汁一滴分、1行から20行の文章を書き続けたもの。
すべての楽しみがなくなり、
今や飲食の楽しみも半減したとぼやく日もあれば、
一人の歌人の作品を執拗に批判する日が続くこともある。
病さえ客観視し、
「写生」する子規の強靱さが感じられる。

正岡子規 『墨汁一滴』の名言集

美しき花もその名を知らずして
文にも書きがたきはいと口惜し

人の希望は初め漠然として大きく後漸(ようや)く
小さく確実になるならひなり。
我病牀における希望は初めより極めて小さく、
遠く歩行(ある)き得ずともよし、
庭の内だに歩行き得ばといひしは四、五年前の事なり。
その後二年を経て、歩行き得ずとも立つ事を得ば嬉しからん、
と思ひしだに余りに小さき望かなと人にも言ひて笑ひしが
一昨年の夏よりは、立つ事は望まず坐るばかりは
病の神も許されたきものぞ、などかこつほどになりぬ。

しかも希望の縮小はなほここに止まらず。
坐る事はともあれせめては一時聞なりとも苦痛なく安らかに臥し得ば如何に嬉しからんとはきのふ今日の我希望なり。

小さき望かな。
最早我望もこの上は小さくなり得ぬほどの極度にまで達したり。
この次の時期は希望の零となる時期なり。
希望の零となる時期、
釈迦はこれを涅槃といひ耶蘇はこれを救ひとやいふらん。

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