羽海野チカ『3月のライオン』の名言集・名セリフ62選

プロになるということは
止まらない列車に飛び乗るようなものだ
もう二度と降りる事はできない
―――負けて転がり堕ちるまでは……
この小さな将棋会館(宇宙)の中で
気が遠くなる程の
勝ったり負けたりを繰り返すのだ
「負けたくない」と喘ぎながら……

嘘だった……
人生で初めての生きる為の
――そして決して戻れない……
そうして幕は
どうしようもなく切って落とされ
―――僕は将棋の家の子になった

無理だよ
他人が説得しなけりゃ
続かないようならダメなんだ
自分で自分を説得しながら
進んで行ける人間でなければダメなんだ
プロになるのがゴールなんじゃない
なってからの方が気が遠くなる程
長いんだ
進めば進む程
道はけわしくまわりに人はいなくなる
自分で自分を調整・修理できる人間しか
どのみち先へは進めなくなるんだよ

そう言われてやっと気づいた
「行きたい所」なんて無いって事に
どうやら僕は
「どこかに行きたかった」のではなく
「どこかへ行ってしまいたかった」
という事らしいのだ

あれもこれもと多くを望まなければ
停滞を受け入れてしまえば
思考を停止してしまえれば
もうここはゴールで
そして
もう一度
嵐の海に飛び込んで
次の島に向かう理由を僕は
もうすでに何ひとつ持ってなかった

僕は本当に
将棋にしか特化してないんです
人付き合いも苦手だし
勉強は好きだけど
学校にはなじめませんでした
人生を早く決めた事は
後悔していません…
でも多分
「逃げなかった」って
記憶が欲しかったんだと思います

「潔い」のと
「投げやり」なのは
似ているけど違うんだ!!
桐山っっ聞こえているか!?
もっと自分の将棋を―――
自分を大切にしてくれっっ
桐山っっ

私が　おとなしく殴られてると思う?
刺すわよ　寝てるとこ
もう２度と起きれないくらいね

……そんなに?

ええ　好きよ
大好きよ

松永さん…
将棋好きですか…

―――知らん
知るもんか…
勝った時は叫び出す程　嬉しくて
負ければ内臓を泥靴で
踏みにじられるように苦しくて
世界中に
「生きる価値無し」と
言われたような気持ちにさいなまれた…
なのにっ……
それなのに辞められなかった
この気持ちを
そんなっ言葉なんぞで
言い表せるものかっっっ

戦う理由が無いと言いながら
本当は身の内に獣が棲むのを知っている
まわりのモノを喰いちぎってでも
生きていく為だけに走り出す獣
戦いが始まればどうしても
生きる道へと手がのびてしまう
誰を不幸にしても
どんな世界が待っていても

だがしかし
そっからも更に生き汚く
「勝ち」ににじり寄ろうとするのが
またプロの仕事ってヤツなんだよね

身軽さが信条なのだろう
――ならば
迷うな

落ち込んでる時に
冷たいモノ喰ってるヤツがあるかっ
命取りになるぞ!?
あったかいモノをとれ!!
HPが半分になっちまうんだぞ?

だ――――っっ　もう
さっきから聞いてりゃ
でもでもでもと!!
「でも」が100個揃えば
開く扉があればいーが
はっきり言って
ねーよそんなドア!!
でもじゃね―――

そんな…
カッコ悪い事かなあ…
気にする事ぜんぜんないのに
「がんばる」って口に出して
本当に「がんばった」んだと思う
れいちゃんなら…
それでダメだったとしても
誰も笑わないのに…

その通り
恥なんてかいてナンボだ
「失敗した」って事は
「挑戦した」って事だからな
何もやんねーで
他人の事笑ってる人生より
ずっとマトモだ

なぁに　そのうち大人になりゃあ
いやでも気付くさ
どんなヤツでも一線でやってる人間で
恥をかいた事
無いヤツなんていねぇってコトにな

今日みたいにさ
一人ではどーにもならん事でもさ
誰かと一緒にがんばれば
クリアできる問題って
けっこうあるんだ
そうやって力をかりたら
次は相手が困ってる時
お前が力をかしてやればいい
世界はそうやってまわってるんだ
あのな大事な事だぞ?　いいか?
一人じゃどうにもならなくなったら
誰かに頼れ
――でないと実は誰も
お前にも頼れないんだ

「縮まらないから」といって
それが　オレが進まない理由にはならん
「抜けない事があきらか」だからって
オレが「努力しなくていい」
って事にはならない

出るさ
絶対にタイトルに挑戦する
そう決めている
そう思わないでどうしてやっていける

君は僕を信用し過ぎだ

オレはただ
リングに上りもしねーで
野次だけ飛ばすヤツを見ると
虫酸が走るんだよ

不思議だ
ひとは　
こんなにも時が　過ぎた後で
全く　違う方向から
嵐のように　救われる事がある

ひなちゃん
ありがとう
君はぼくの恩人だ
約束する
僕がついてる
一生かかってでも僕は
君に恩を返すよ

だからってあきらめる訳には
いかねえんだ!!
「答えが見つかんないから
　何もしませんでした」じゃ
話は進まねえ

――ぼくは小さい頃から
ずっと孤立して来ました
でも救いの手なんて
そんな恐ろしくて申し訳ないもの
誰にも望めなかった
でもあの日ひなちゃんは
「恐い」って言いながらも
「後悔しない」
「間違ってない」って言い切ったんです
まるで自分に言いきかせるみたいに
あの時　僕は
僕が助けてもらったんだと思いました
ひなちゃんはぼくの恩人だと…
―――だから
ひなちゃんをこんな
「勇気のある子」に育ててくれた
あかりさんも僕にとっては恩人なんです

そういう手加減はしないで下さいっ
将棋でまで
「弱い人間扱い」されたら
もうボクは
どこで生きて行ったらいいんですか!?

「信じれば夢は叶う」
それは多分　本当だ
但し一文が抜けている
「信じて
　努力を続ければ
　夢は叶う」
――――これが正解だ
さらに言えば
信じて
「他のどのライバルよりも1時間長く
　毎日努力を続ければ
　ある程度迄の夢は、かなりの確率で」
叶う――だ
キャッチコピーというものは
短い方がいい――でもこれは
あまりにもはしょり過ぎだと思う
それじゃまるで
「何もしなくても」
「ただ信じていれば」
叶うみたいじゃないか
この文章をここまで削ったヤツに
何を思ってここまで削ったのか
と問い質したい

心配しすぎです
「得たり」「失ったり」は
全ての人間に避けようもなく
訪れるもの…
喜んだりがっかりしたりをくり返し
人は自分の心の取り扱い方を
学んでゆくのです…
失望も淋しさも人間には必要な感情です
勇気を出して新しい世界に
手を伸ばすのは
「淋しさ」ゆえのこと……
――そうやって人は…
自分の小さな世界を
赤子のように手を伸ばして
広げてゆくのではないでしょうか…

―――こんな所
何があったって生きて卒業さえすれば
私の勝ちだ

そうやって
「全部　世の中の空気のせい」
みたいにまとめんのやめてね?

「教育」か……
「教育」とはうまい事
言ったもんだよ…
――「教える」に
「育てる」か…
「育」の字が無けりゃ
とっくに放り出してるぜ
こんな事…

こえーなぁ
俺から仕事をとったら
何が残ってるんだ?
こえーよ朔ちゃん…
まるで焼け野っ原にいるみてーだ

ならば俺は?
俺はたとえるなら何であったんだろう
―――そうだな
わからねぇな
たとえてくれる先人も
もはやただの一人も無し

わからんがこれは
俺が絶対に
手離しちゃいけねぇもんだ!!
オレが担いで届けるものだ!!
精一杯頑張った人間が
最期に辿り着く場所が
焼野ヶ原なんかであってたまるものか!!
時が経てば焼け野っ原には
嫌でも　またあっという間に草がはえる
一面の緑になる
それを一緒に見るんだよ!!

「さよならだけが人生だ」
――誰が言ったんだっけ
せいせいとしたいい言葉だ…
1人ずつ欠けて行く事も解ってる
将棋からも人生からも
――でもな俺は覚えている
好きなヤツも
嫌いなヤツも
山程いたが
間違いねえ
――今の俺はその
全部のカケラでできている

なぁ高城…
お前は多分　今
不安で不安でしょうがないんだな
何もやった事が無いから
まだ自分の大きさすら解らねえ…
――不安の原因はソコだ
お前が何にもがんばれないのは
自分の大きさを知って
ガッカリするのがこわいからだ
だが高城
ガッカリしても大丈夫だ
「自分の大きさ」が解ったら
「何をしたらいいか」がやっと解る
自分の事が解ってくれば
「やりたい事」も
だんだんぼんやり見えてくる
そうすれば…
今の　その
「ものすごい不安」からだけは
抜け出る事が出来るよ
それだけは俺が保証する

「楽しそうだと思ったから」
いいじゃねぇか!!
理由なんてそれ1コでOKだ

勝った日は大いに喜び
負けた日は反省する
――でも
苦しみ過ぎてはいけないと
決めている
――この海はまだまだ広く
日々はこれからも続くのだ

「他人の気持ちを考える人間」が
「何も考えてない人間」に
勝てる訳が無い!!
空気なんか読んでたら
ボロボロにされるだけだ!!

――だいたい
好きな女の一大事に
「空気読んでて何も出来ませんでした」
じゃ 男に生まれた意味がね―だろ!!

法的効力は無いとしても
指輪などを贈って装備してもらえば
「婚約状態」にできますかね?

何それやめて!?
「婚約」をそんな
ステータス異常みたいに言わないで!?

「言いたい事を言う」のと
「言わなければいけない事を言う」
の違いを知る事が
大人への一歩ですよ

人生はいつも「立ち向かう」か
「座り込む」かの二択だ
何もしないでいても救かるなら
僕だってそうした
――でもそんな訳無い事くらい
小学生にだって解った
だから自分が居てもいい場所を
必死に探した
自分の脚で立たねばと思った
一人でも
生きてゆけるように
誰も傷つけずにすむように

私はあなた様を愛しています
私よりあなたを幸せにしてくれる
女ならば身を引く覚悟もありますが
あなたを一時しか幸せにしてくれない人の為に…
別れるつもりなど毛頭ありません!!

どうして…こういう時
隣にこういう大駒が置かれちゃうのか
俺にはわかる
神様は絶対面白がってる
――でも
面白がってくれて　よかった…
この人だけがひとりで
このドアを開けて
オレの知らない物語が
始まってしまうより
――ずっとずっとよかった

まだ青春に両足つっ込んでるヤツに
俺たちと飲み明かす資格は無ぇ!!

ここは嫉妬とかして腐る所じゃなく
強くなるために弱いトコを探して
一個ずつ修正していくだけの
頭がヘンになりそうな作業を
正気でコツコツ繰り返すだけの
単純な話なんだ

「生きる」って事についてなら
僕　思うんです
「自分も　いつかは死ぬんだ」って事を
忘れて呑気に日々を送れてしまう事…
それって人間の持っている
ちっぽけな権利の
ひとつなんじゃないかなって

大人の男ってのは
ガキの20倍はデリケートなんだっつの

オレは…
なんというかあまりろくな人間じゃないというか…
女の人には完全に
申し訳ない生き物でして
妄執です
幸せとかよりどうしても
タイトルが欲しい…

オレは天才でも秀才でも
ましてや化物でもないから
将棋に100％全ぶっ込みしないと
あっという間に黒星が溜まるんですよ
―残念だけど
才能ってのには個体差があって
鳥に例えるなら
オレの羽って足で漕ぐヤツ…
ぶっちゃけただの人力なんですよ
何ていうか… こう…
鬼の形相で汗だくで漕ぎ続けないと
一瞬で墜落必至というか…

ちがわないよ
というか違わなくなりたい
ひなちゃん君が好きだよ

子供の頃　ばっちゃんが言ってた
「できない」には
「本当にできない」と
「しんどそうでやりたくない」
の２種類があるって…
――そして 大抵の夢は
「しんどそうでやりたくない」の
先に光ってるって

人は情熱を失うとせっかちになる
次から次へ成果が欲しくなり
近道を探し始める
――でも「最短距離」は
みんなが通りたい道だから
ギュウギュウな上
「みんなが持ってるモノ」しか
もう落ちていない
そしてその
「もうみんなが持ってるモノ」を
投げつけ合っても
勝負はなかなかつかない
しかも近道を選びがちで歩いてないので
基礎体力が落ちている
すると　ますます
もっとお得な道を探したくなる
神さま僕はっっ
野蛮なままでいたい
お得なルートばかり探して
少しずつ弱くなって
あきらめがつく日を待つより
道無き道につっこんで
何度も迷って転んで泣き叫んで
泣き喚く勇気と体力を無くしたくない!!!

自分の弱さから
目をそらすヤツがするのがウサ晴らし
弱さを見つめる人間がするのが立て直し
彼はきっと走って帰って勉強するよ

やっぱりあれかしらね
将棋の国の人たちは
頭の中に宇宙がつまっているのかしらね
はかりしれないわね…

ポテチの袋の中の
7割～8割は空気ですもの
でっかく夢いっぱいに
ふくらんでいるけれど
あの袋の中のほとんどは
夢と希望ですもの…

失敗は恐いし
あせってパニックになるし
何度思い出してもなさけなくて
わーっとなるんだけど
なのにそれなのに
どうしても投げ出せないの
どんなに落ち込んでも
「よし!!　次こそは絶対!!」って思うの
私思うんだ　きっとこんな風にね
しつこくてあきらめきれない気持ちを
「向いてる」って
言うんじゃないかなって

もしホントに仮に
そんな事になったとして
「君のせいだ」とかなんだとか
言ったり態度に出したり
するようなヤツになったとしたら
そんな男ぜっっったいダメだからっっ!!
迷わず走って逃げるんだよ!?

逃げないよ!!
だからそんな事にならないように
話してるんだよ!!　今!!
だってれいちゃん
今までいっぱい
がんばって来たんでしょ!?
ひなそれを台無しになんてしたくないよ

おねいちゃんもお母さんも
みんなそうだった
――だからそれでいいんだよ
おばあちゃんが言ってた
「お天気の日ばかりじゃ
　いられないんだから」
「かわりばんこにはげまし合って
　行けばいいんだ」って

何であいつら顔圧上げてきゃイケる!!
みたいに思っちゃってるワケ?

「甘い」と「しょっぱい」
の無限ループを!!　お客様にも
味わっていただきたいのっっっ

あかり…おめぇ
自分が堕ちた罠に
みんなもハメようって魂胆だな!?