ラノベの名言集 アニメの名言

田中芳樹『銀河英雄伝説』の心に残る名言集「現実はもっと不愉快です」

自由惑星同盟国家をきちんと歌えず、
鼻歌でごまかしていたら
憂国騎士団になっていた凡夫です。

この記事ではアニメ、
小説『銀河英雄伝説』の名言を紹介していきます。

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目次

アニメ『銀河英雄伝説』の名言集

第1話「永遠の夜の中で」

現実はもっと不愉快です

不愉快なことを言うな

現実はもっと不愉快です

ジャン・ロベール・ラップの名言。
ヤンの士官学校時代の同期で親友。
ヤンは彼の事を高く評価していたが、
アスターテ会戦で戦死。
アニメ1話はアスターテ会戦から始まるのですが、
最初からクライマックスと言いますか、
銀河英雄伝説で最も無能だと思われる人物が登場します。

それが不愉快なことを言うな!と発言した現実を直視できていないジャンの上司、第6艦隊司令官ムーア中将。
ではなく、第4艦隊パストーレ中将。
ローエングラム艦隊20,000隻に強襲されたとは、
12,000隻も率いていたのに4時間で壊滅し、
損害をあたえることができなかった
とかどういうことだ? 百戦錬磨の猛将とはこれいかに。

逆にこの会戦ではいいところがなかったものの
優秀なのはパエッタ。パエッタはその後、
ランテマリオ星域会戦に第一艦隊司令官として参戦。
ラインハルト艦隊、シュタインメッツ艦隊、ミッターマイヤー艦隊、ミュラー艦隊、ワーレン艦隊、ファーレンハイト艦隊、ビッテンフェルト艦隊を相手に善戦しています。
なんだこの布陣。イジメか。その上、戦力は倍。

これで最後まで戦い抜いたのだからパエッタは優秀だと思うのですが、人を見る目はなかったのでしょうか。
OVA版ではパストーレはライハルトに嘲笑されています。

ちなみにアスターテ会戦は、1796年4月に行われたナポレオンのガルダ湖畔の戦いが元ネタではないかと言われていて、包囲殲滅しようとしたら各個撃破されていたでござるという戦いです。銀河英雄伝説は様々な戦争を元ネタにしていて、とくにナポレオン時代をモチーフにしているようです。
ラインハルトの戦略とかまんまナポレオンです。

第4話「帝国の残照」

なぁ、キルヒアイス。
銀河帝国は、反乱軍と戦争をしているはずだな。
うん。確か140年近く戦っているはずだけど。
じゃあ、彼らはいったい何をしているんだ。
戦場では多くの人々が死んでいるというのに、
まるでお祭り騒ぎじゃないか。
あの人たちの身内は戦争なんかに行かないよ。
上級貴族だもの。
つまり、他人の痛みなんか
知ったことじゃないというわけだ。

第6話 「薔薇の騎士」

なにが精鋭だ。
今のを翻訳すると

なにが精鋭だ。
今のを翻訳すると
敗残兵と新兵の寄せ集めってことじゃないか。

これがヤン率いる第13艦隊の持ち味です。

みんな死なないように戦い抜こう。

ええっと、どうもこういうのは……。
あぁ、つまり、
祖国のためとか命を懸けてとかじゃなくて、

そのぉ、美味い紅茶を飲めるのは
生きている間だけだから、
みんな死なないように戦い抜こう。

死なないように戦い抜く。戦争という異常な状況下で妥協点を見いだすとしたらここだと思います。

貴官にシャンパンの一杯も奢りたくなった。

今度の出兵でも、
13代目の連隊長が裏切るかもしれぬ
という噂が流れている。

フッフッフッフ。提督、もし噂通りに、
私が7人目の裏切り者になったらどうします?

困る。

はぁ、それはお困りでしょう。
ですが困ってばかりすかなぁ。
何か手を考えておられるのでしょう。

特に考えてない。

それでは私を全面的にお信じになると?

ああ。

ほぉー。そこまで私を信じる理由を
お聞きしたいですなぁ。

過日、私は貴官がトリューニヒト派の将校と
衝突する場に居合わせてね。

貴官にシャンパンの一杯も奢りたくなった。
それが理由かな。

同盟が誇る不良中年、ワルター・フォン・シェーンコップの登場回です。

永遠ならざる平和のために。

一つ伺ってよろしいですかな。

どうぞ。

この戦いで、あなたの目的が
どのあたりにあるのか、知りたいものだ。

名誉ですかな、それとも出世ですか。

出世じゃないと思うな。
30前で閣下呼ばわりされればもう十分だ。

それに私は、この戦いが終わって
生きていれば退役するつもりだし。

退役?

うん。まぁ年金もつくし、退職金もでる。
私ともう一人くらい慎ましく食べていくのに
不自由はないくらいにね。

この情勢下に退役するとおっしゃるのですか?

それ、その情勢って奴さ。
イゼルローン攻略に成功すれば、
我が国は軍事的に優位に立てる。

そこで帝国との間に何とか
満足のいく和平条約を結ぶことも可能だろう。

そうなれば、私としては安心して退役できる
平和がやってくるというわけさ。

しかし、その平和が恒久的なものになりますかな。

恒久的な平和なんて、人類の歴史にはなかった。
だが、何十年かの平和で豊かな時代は存在した。
要するに、私の希望は、
たかだかこの先数十年の平和なんだ。

だが、それでその十分の一の期間の戦乱に勝ること、幾万倍だと思う。
私の家に14歳の男の子がいるが、
その子が戦場に引き出されるのを見たくない。

ただ、それだけだ。

フッ。変わった人だとは聞いていたが、
失礼ながら提督、
あなたは余程の正直者か、
さもなければルドルフ大帝以来の
詭弁家かどちらかですな。

まぁ、期待以上の答えはいただいた。
斯くなる上は、微力を尽くすとしますかな、

永遠ならざる平和のために。

歴史の勉強になる作品です。凡夫は政治学科だったのですが、大学で学んだ事より多くの事を銀英伝から学びました。だから落ちこぼれているのだろうけど。もっと勉強しないとダメですね。

第8話 「冷徹なる義眼」

ゴールデンバーム王朝は、滅びるべきなのです。

違うでしょう。
イゼルローン駐留艦隊旗艦の
ただ一人の生存者である私は、

生き残ったという正にそのことによって
処断されようとしているのです。

この通り、私の両目は義眼です。
弱者に生きる資格なしとした、

あのルドルフ大帝の治世であれば、
とうに抹殺されていたでしょう。

お分かりですか、私は憎んでいるのです。
ルドルフ大帝と、彼の子孫と、
彼の生み出したすべてのものを。

大胆な発言だな。

銀河帝国、いやゴールデンバーム王朝は滅びるべきです。
可能であれば、私自身の手で滅ぼしてやりたい。
ですが、私にはその力量がありません。
私にできることは、
新たな覇者の登場に協力すること、ただそれだけです。

帝国元帥ローエングラム伯ラインハルト閣下。

卿は、自分が何を言っているのか分かっているのか。

無論です。何度でも言いましょう。
ゴールデンバーム王朝は、滅びるべきなのです。

そして、その後、新しい帝国を創る方は、
閣下をおいて他にいません。

キルヒアイス!
オーベルシュタイン大佐を逮捕しろ。

帝国に対して反逆の言質があった。
帝国軍人として看過できぬ。

所詮、あなたはこの程度の人か。
結構、キルヒアイス中将一人を腹心と頼んで、
あなたの狭い道をお行きなさい。

キルヒアイス中将、私を撃てるか?
私は、この通り丸腰だ。
それでも撃てるか。撃てんだろう。
貴官はそういう男だ。

尊敬に値するが、
それだけでは閣下の覇業の助けにはならん。

光には必ず陰が従う。
しかし、お若いローエングラム伯には、
まだご理解いただけぬか。

キルヒアイス。
……ふん、言いたいことを言う男だな。

恐縮です。

ゼークト提督からも、さぞ嫌われたことだろう。

あの提督は、部下の忠誠心を
刺激する人ではありませんでした。

良かろう、卿を貴族どもから買おう。

あのルドルフに可能だったことが、
俺に不可能だと思うか

あんな奴ら。あいつらは人を何だと思ってるんだ。
支配するのが当たり前だという顔をしてやがる。
人から奪うことも、人を踏みつけることも、
自分たちには許された特権だとでも言うのか。
あいつら腐りきっている。
この帝国は腐りきっている。

ラインハルト様。

俺が、あのルドルフを許せなく思うのは、
皇帝になって何をしたかだ。
自分に媚びへつらう者を貴族に据えた。
その結果が、あのていたらくだ。
こう考えたことはないか、キルヒアイス。
ゴールデンバーム王朝は
人類の発生とともに存在したわけじゃない。
あのルドルフが創ってから、
たかが500年だ。

ええ。

その前は、その前は皇帝などおらず、
ゴールデンバーム家もただの一市民に
すぎなかったってことだ。
もともとルドルフは
成り上がりの野心家にすぎなかった。
それが時流に乗って
神聖不可侵の皇帝などに成りおおせたんだ。

ラインハルト様。

キルヒアイス。

はい。

あのルドルフに可能だったことが、
俺に不可能だと思うか。
大丈夫誰もいない。

ラインハルト様、その様なことを口にされては。
大丈夫だ。キルヒアイス、お前だけだ。
どうだ、不可能だと思うか。
一緒に来い、キルヒアイス。
二人で宇宙を手に入れるんだ。

宇宙を手にお入れください、ラインハルト様。
そして…。

第9話 「クロプシュトック事件」

度々躾の悪い犬に吠えかけられるので

これはこれは、華麗なる天才児殿。
何処にいるのかと思えば、
こんな片隅で絵のご鑑賞ですか。
まぁ、どれもこれも一流の貴族にふさわしい、
一流の絵画ばかり。
特に、この肖像画などは、
落ち目の自分が持っているより
ブラウンシュバイク侯に持っていただいた方が
相応しいと、頭を下げて献上されたほどですから。

ほぉ、どなたですか、
そういう愚かなことを考える方は。

ほれ、あそこに座っている
クロプシュトック侯爵だ。

クロプシュトック? 
なるほど、勢威のある者のところには、
名画も集まるということですか。

そういうことだな。

しかし、クロプシュトック侯爵も、
かつては大変な権勢家。
と言うことは、ブラウンシュバイク家もまた、
いつこの名画を手放さねばならなぬ時が
来るかもしれないということでしょう。

なんだと。

絵画などというものを
見せびらかそうとして集める限り、
そういう喜劇は
いつまでも繰り返されるでしょうなぁ。

つけ上がるなよ、小僧。

別に、つけ上がってはおりません。
ただ、度々躾の悪い犬に吠えかけられるので、
時には蹴飛ばしてやるのが
犬のためでもあろうという気がいたしまして。

第16話 「新たなる潮流」

誰も責任を追及されない社会よりは、
まともってもんだ。

しかし、補給の失敗と言ったって、
別にキャゼルヌ少将のせいじゃないでしょうに。
元々あの作戦自体が狂ってたんだ。

俺のために怒ってくれるのはありがたいが、
まぁそう言うな。
誰かが責任をとなきゃなん。
誰も責任を追及されない社会よりは、
まともってもんだ。
まぁ、辺境とはいえ、第14補給基地の司令官だ。
フォーク准将のように病院送りにされるよりは、
遙かにましだろう。

 第17話 「嵐の前」

どうも勝つことばかり考えていると、人間は際限なく卑しくなるものだなぁ。

何を考えておいででした。

うーん、他人に言えることじゃないよ。
どうも勝つことばかり考えていると、
人間は際限なく卑しくなるものだなぁ。

軍人というのは、敵を殺し
味方を死なせ他人を騙したり
出し抜いたりすることに明け暮れる

ろくでもない商売だ。

提督。

ユリアンが軍人になりたい
と言うんならしょうがないが、
いいかいユリアン、

軍隊というのは道具にすぎないんだ。
それも無い方がいい道具だ。

そのことを覚えておいて、
その上でなるべく無害な道具になれると良いねぇ。

はい。

私自身、ずぅーっとそう思ってきたんだが。
9年前のエルファシルから
総てが狂ってきてしまった。

全く、なまじ地位が上がると
人間はドンドン不純になってくるねぇ。

第18話「リップシュタットの密約」

フロイライン・マリーンドルフ

で、私にご用というのは?

この度の内戦に際して、マリーンドルフ家は
閣下にお味方させていただくことを
申し上げに参りました。

内戦とは?

明日にでも起こるであろう
ブラウンシュバイク侯との。

ふっ大胆な人だ。

例えそうなったとして、私が勝つとは限らないが、
それでも私に味方してくださると。

閣下はお勝ちなります。

ほぉ。

ブラウンシュバイク侯とリッテンハイム侯は
一時的に手を結んだだけのことで、
お互いに協力しようとする意思に欠けます。
何より軍の指揮系統が
一本化されていないのが致命的です。
全体の兵力が閣下を上回ったとしても、
統一された閣下の軍の敵ではありませんでしょう。
それに貴族の士官だけで戦争はできません。
実際に戦闘するのは兵士たちです。
平民や下級貴族の兵士たちは、
閣下とブラウンシュバイク侯とどちらを支持するか、
火を見るより明らかではありませんか。

見事な見識をお持ちだ。
結構、そういうことであれば私も味方はほしい。
マリーンドルフ家はもちろん、
その口添えのあった家は
厚く遇することを約束しよう。

閣下の寛大なお言葉をいただき、
私どもも知人縁者を説得しやすくなます。

なぁに、せっかく味方してくださるのだ、
粗略なこともできまい。
もし私で役に立つことがあったら、
何なりと言ってもらいたい。遠慮はいらぬ。

では、お言葉に甘えてお願いがございます。

どうぞ。

マリーンドルフ家に対し家紋と領地を安堵する、
そう保証する公文書をいただきとうございます。

ほぉ。公文書を。
よかろう、今日中に文書にしてお渡ししよう。

ありがとうございます。
マリーンドルフ家は閣下に
絶対の忠誠をお誓いします。

期待させてもらおう。
ところで、フロイライン・マリーンドルフ。
あなたが説得してくださる他の貴族たちに対しても、やはり同様の保証書が必要かな?

それは、それぞれの家のものが考えることです。
それに、閣下がおやりになろうとしていることには、
そうしたものが沢山あっては
お邪魔でございましょう。

フッフッフ。いやこれは失礼。
見かけによらず怖い方だ。
フロイライン・マリーンドルフ。

忠誠心などというものは、

忠誠心などというものは、 
その価値の判る人に捧げてこそ意味のあるもので 
人を見る目のない主君に忠誠を尽くすなど
宝石を泥の中に放り込むようなものです。
社会にとっての損失だとお思いになりませんか?

田中芳樹節です。こういう台詞をさらりと言える人間になりたいのですが、顔面偏差値が低いので急にこれを言いだしても引かれるだけですね。どうしよう?

第19話 「ヤン艦隊出動」

兵士に苦労をかける司令官ほど、
本人も苦労していると思うものなのさ。

両方を別々に攻撃するのは、
時間と手間の無駄ですね。

そうだね。第一なるべく楽をして勝とう
という私の主義に反するからなぁ。

ユリアンならどうする。

こうしたらどうでしょう。
敵を一カ所に集めて叩くんです。

アイデアは良いが二つ問題点がある。
一つは敵を集める方法。
敵は我々の兵力を分散させるため
あちこちで反乱を起こさせたのだから、

その有利さを自ら捨てるとも思えない。

はい。

もう一つの難点は、
敵を一カ所に集めるのは
相手に兵力を集中させずに各個撃破すべし

という用兵学の根本にもとることになる。

だめですかぁ。

いや、アイデアは良いんだ。
応用を考えてみるんだなぁ。

そうだなぁ、まずその方法は別にして、
敵を一カ所に誘き寄せるのはいい。

だが敵が集結し終わるのを
待つ必要はないということだ。

敵が集結しようとするルートを想定して
各個撃破する。

この場合、敵と味方が同数で、
敵は四つの集団に分かれているのだから、

こちらは二つの集団に分かれて
敵の二個集団ずつを時間差を付けて撃つ。

これだと二倍の兵力で敵と当たることになるから、
勝率は極めて高い。

あるいは、こちらはまとまったまま行動して、
最初に敵のA集団、次にB集団と各個撃破する。

その上で、残る二個集団が集まったところを撃てば、まず4分の1の敵と二回戦い、
最後に2分の1の敵と戦うことになって、
これも勝算が高い。

このように圧倒的多数で戦えば、
味方の消耗はほとんど考えなくていいしね。

まぁ、今回はここまでやりたくない。
敵も同じ同盟軍だ。

なるべく戦わずに降伏させる方法を考えよう。
その方が、第一楽だよ。

兵士は楽でしょうけど、司令官は苦労ですね。

おっ、分かってきたな。
ところが世間では、
兵士に苦労をかける司令官ほど、
本人も苦労していると思うものなのさ。

その五分と五分という条件を整えるのが戦略だ。

ヤン提督、ミス・グリーンヒルを
クビになさらなかったようですな。

当然だろ、彼女以上に
有能な人材が見つからない限りはね。

素直じゃありませんな。

どういう意味だね。

いや、いろいろとまぁ、
彼女が閣下のことをどう思っているか
などと考えましてね。

部下としてですよ。

君はどう思っているんだ。

さぁーてね、私にも実はよくわからんのです。
何しろあなたは矛盾の固まりだから。
何故かというと、まずあなたほど
戦争の愚劣さを嫌っている人間はいないでしょうに。

同時に、あなたほどの戦争の名人はいない。
そうでしょう。

ローエングラム侯ラインハルトはどうなんだ?

やらせてみたら面白いでしょうな。
五分と五分の条件で兵を動かしたら、
たぶんあなたが勝つと私は思ってるんですがね。

そんな仮定は無意味だね。
その五分と五分という条件を整えるのが戦略だ。

戦略を無視して戦術だけの優劣を論ずるなど、
実際の戦争ではあり得ないことだ。

そんなことは分かっています。
ローエングラム侯のすごいところは、
その戦略において常に
五分以上に持ち込んでしまうところにある。

彼はいつも、実際に戦う前に勝利しているんだ。

まぁ、いいでしょう。次の点に移りましょうか。
あなたは、今の同盟の権力体制が、
如何に駄目なものであるか骨身にしみて知っている。

それなのに全力を挙げてそれを救おうとする。
こいつも大いなる矛盾ですな。

私は、ベターな方を選びたいんだ。
今の同盟の権力者たちが、
能力的にも道徳的にも駄目だってことは
確かに分かっているさ。
だけど救国軍事会議とやらの
スローガンを見ただろう。
あの連中は、今の連中よりひどいじゃないか。

私に言わせればねぇ、救国軍事会議の連中に
今の権力者たちを一掃させてしまうんです、
徹底的にね。

どうせ、その後奴らはボロを出して
事態を収拾できなくなる。

そこへあなたが乗り込んで、
掃除人どもを追い払い
民主主義の回復者として権力を握るんです。

これこそベターですよ。
そうすることで初めて、
ローエングラム侯に戦略面を含めて
五分の戦いができるようになる。

そうではありませんか。

独裁者ヤン・ウェンリーか。
どう考えてもガラじゃないね。

そもそも軍人というのが、
あなたのガラじゃありませんよ。

それでもこの上なく上手くやってるんだ。
独裁者だって結構上手く演じられるでしょう。

シェーンコップ准将。

何です。

私以外の誰かに、
君の考えをはなしたことがあるかい。

とんでもない。

それなら結構。

第21話 「ドーリア星域会戦、そして…」

かかっているのは高々国家の存亡だ。

司令官のヤン・ウェンリーだ。
みんなそのまま聞いてほしい。
間もなく戦いが始まる。
ろくでもない戦いだが、
それだけに勝たなくては意味がない。
勝つための算段はしてあるから、
無理をせず気楽にやってくれ。
かかっているのは高々国家の存亡だ。
個人の自由と権利に比べれば、
大した価値のあるものじゃぁない。
それではみんな、そろそろ始めるとしようか。 

第22話 「勇気と忠誠」

ブラウンシュバイク侯は病人なのだ。

あまり怒るな、ブラウンシュバイク侯は病人なのだ。

病人ですって。

精神面のな。その病気を育てたのは、
500年にも及ぶ貴族の特権そのものなのだ。

そうだな、その意味で言うと
侯爵もむしろ被害者なのかもしれんな。

100年前なら、あれで通じたのだがな。不運な人だ。

なるほど、ブラウンシュバイク侯は
不運な人かもしれない。

だが、その人に未来を託さねばならぬことは、
もっと不運ではないのか。

忠誠心ですか、美しい響きの言葉です。

忠誠心ですか、美しい響きの言葉です。
しかし、都合のよいときに乱用されているようです。
今度の内戦はいい機会だと思いますよ。
ある種の人間は、
部下に忠誠心を要求する資格がないのだという実例を

何百万人という人間が目撃したわけですからね

第24話 「誰がための勝利」

固い信念なんてものは、かえって信用がおけんね。

彼らの日和見主義も呆れたものですなぁ。

そうでもないさ。
固い信念なんてものは、かえって信用がおけんね。

だいたい戦争なんてものは、
固い信念を持ったもの同士が起こすんだからね。

今ハイネセンを占拠している
救国軍事会議のメンバーも、

自らの正義への信念は
誰にも負けないほど固いだろうからね。

ヤン・ウェンリーの名言
「政治の腐敗とは、政治家が賄賂を取ることじゃない」

救国軍事会議議長代理として話がしたい。
我々は自らの敗北を知り、
無益な抵抗を断念した。

この上の攻撃は無用だ。

それは結構だが、議長は? 
グリーンヒル大将はどうなさったのだ。

閣下は自殺された。見事な最後だった。
ヤン提督、
我々は銀河帝国の専制政治を
打破するために起ったのだ。

貴官は、我々を帝国の手先であるがごとく
誹謗したが、
貴官こそ、
帝国の専制の存続に力を貸したことになるのだ。

専制とは、市民から選ばれない為政者が、
権力と暴力によって
市民の自由を奪い支配することだろう。

それは即ち、貴官たちが今
ハイネセンでやっていることだ。

貴官たちこそが専制者だ。そうではないか?

違う。我々は自己の権力を求めているのではない。
政治の腐敗を正すために、
他に方法がなかったのだ。

政治の腐敗とは、
政治家が賄賂を取ることじゃない。

それは政治家個人の腐敗であるにすぎない。
政治家が賄賂を取っても、
それを批判できない状態を政治の腐敗と言うんだ。

貴官たちは言論を統制した。
それだけで、帝国の専制政治や
同盟の現在の政治を非難する資格はない。

そうは思わないか。

いや、少なくとも政治権力を
己の欲のためにのみ求めるような

トリューニヒトノのような輩より、
遙かに崇高な政治体制を創るために
我らは命を懸けていたのだ。

その点に関しては、何者にも非難はさせん。
我々は正義を欠いていたのではない。
運と実力が僅かに足りなかっただけだ。

エベンス大佐。

ヤン提督。せめて貴官にお願いする。
我々の死が無駄に終わらぬよう、この国を、
同盟の未来を頼む。

それをグリーンヒル閣下も望んでおられた。
さらばだ

第30話 「失われたもの」

ヤン提督を、一時ハイネセンに召還し、
査問会に掛けることに決定した模様です。

査問会か? 軍法会議ではないのだな。

軍法会議であれば、
開くのに正式な告発も必要としますし、
被告には弁護人も付けねばなりません。

疑惑と憶測に基づいて、
精神的リンチを加えるには、
より効果的な手段でしょう。

現在の同盟の権力者たちには相応しいやり方だな。
口では民主主義を唱えながら、

事実上法律や規則を無視し、空洞化させていく。
姑息でしかも危険なやり方だ。

権力者自らが法を尊重しないのだから、
社会全体の規範がゆるむばかりだ。

だとしても、それは彼らが解決すべき問題です。
私たちが、心配してやる必要はないでしょう。

力量なくして遺産を受け継いだ者は、
相応の試練を受けるべきです。

耐えられなければ滅びるまでのこと。
何も、ゴールデンバーム王朝に限りますまい。

第31話 「査問会」

これは歴史上、証明可能な事実である。

国家が社会的不公平を放置して
いたずらに軍備を増強し、
その力を内に対しては国民の弾圧、
外に対しては侵略という形で乱用するとき、
その国は滅亡への途上にある。
これは歴史上、証明可能な事実である。
加えて、現在の我々には帝国に
侵攻するだけの力はない。
純粋に軍事的見地からしても、
アムリッツァでの大敗と昨年の内乱により、
著しい戦力の低下が見られるが、それだけではない。国家の経済、生産力、
人的資源すべてが払底している。
イゼルローン要塞の存在によって、
辛うじて国防が可能な実情にある。
我々がなすべきは、
ローエングラム体制との共存である。
ゴールデンバーム体制は、
民主的に成立した政権が
最も非民主的な政治を行った例であり、
ローエングラム体制は、非民主的に成立した政権が、すぐれて民主的な政治を行いつつある例である。
これは民衆による政治ではないものの、
現在のところ、より民衆のための政治ではある。
それを認めたとき、ローエングラム体制との共存は
可能なばかりではなく、必然となるであろう。 

私は菜食主義者です。
もっとも、美味しそうな肉料理を見ると

クーデター派の第11艦隊と戦うにあたって、
君は全軍の将兵に向かって言ったそうだな、
国家の興廃など個人の自由と権利に比べれば
とるに足らぬものだと。
それを聞いた複数の人間の証言があるが、
間違いないかね?

一字一句間違いなくその通りとは言いませんが、
それに類することは確かに言いました。

不見識な発言だとは思わないかな。
はぁ、何がです?

君は、国家を守るべき責務を負った軍人だ。
その君が、国家を軽んじるような発言をするのは、
不見識ではないかというのだ。

お言葉ですが、委員長閣下。
あれは私にとって、珍しく
見識のある発言だったと思います。
国家の構成要員として個人が存在するのではなく、
主体的な意思を持った個人が集まってできる
社会の一つの方便として国家がある以上、
どちらが主でどちらが従であるか、
民主社会にとっては自明の理でしょう。

自明の理か、私の見解はいささか異なるがね。
人間は社会的生き物だ。
誰も一人では生きていけない以上、
人間にとって国家は不可欠な価値を持つ。

そうでしょうか。人間が生きていくのに
不可欠なものは、あくまで社会であって、
何も国家である必要はないでしょう。

こいつは驚いた。
君はかなり過激な無政府主義者らしいな。

違います。私は菜食主義者です。
もっとも、美味しそうな肉料理を見ると
すぐに戒律を破ってしまいますがね。

ヤン提督。君は当査問会を侮辱する気かね。
とんでもない、そんな意思は毛頭ありません。

フレデリカ・グリーンヒル大尉を、
君は副官として任用しておるな。

それが何か?

彼女は、昨年、民主共和政治に対する
反逆行為を行ったグリーンヒル大将の娘だ。
君はそれを知っているはずだが?

ほぅ。我が自由の国では、
古代の専制国家よろしく
親の罪が子に及ぶというわけですか?

そんなことは言っておらん。

それ以外に解釈できませんが。

私が言っておるのは、
無用の誤解をさけるために、
人事に配慮する必要があるのではないかということだ。

無用の誤解とはどういうものか、
具体的に教えて頂けませんか?

ウーッ。

何か証拠があっての深刻な疑惑ならともかく、
無用な誤解などという得体の知れないものに対して
備える必要を、小官は感じません。
副官人事に関しては、
軍司令官の任用権が法によって保障されておりますし、
最も有能で信頼できる副官を解任せよということであれば、軍の機能を十全に生かすことを阻害し、
軍に損失を与える意図があってのこととしか思いませんが。そう解釈してよろしいのでしょうか。

提督、そういう風に言われたのでは
我々の質問がしにくくなる。
我々と君とは敵同士ではない、
もっと理性と良識をもって
互いの理解を深めようではないかね。 

第32話 「武器なき戦い」

ヤン・ウェンリー
「人間の行為の中で何が最も卑劣で恥知らずか」

提督、君は優秀な男だが、まだ若いな。
どうも戦争の本質を理解しておらんようだ。
いいかね、緊張感を欠く平和と自由は、
人間を堕落させるものだ。

活力と規律を生むのは戦争であり、
戦争こそが文明の発達を加速し、

人間の精神的、肉体的向上をもたらすものだ。
一定期間続いた平和と自由は、
常に享楽と退廃の世紀末を現出させてきた。

それは、君が好きな歴史が
証明しているのではないかね。

すばらしいご意見です。戦争で命を落としたり、
肉親を失ったりしたことのない人であれば、
信じたくなるかもしれませんねぇ。

増して戦争を利用して
他人の犠牲の上に自らの利益を
築こうとする人々にとっては、

非常に魅力的な考え方でしょう。
ありもしない祖国愛をあると見せかけて
他人を欺くような人にとってもね。

君は、私たちの祖国愛が偽物だというのか。

あなた方が口で言うほど、
祖国の防衛や犠牲心を必要だとお思いなら、
他人にどうしろこうしろと命令する前に、
自分たちで実行なさったらどうですか。
人間の行為の中で何が最も卑劣で恥知らずか。
それは権力を持った人間や権力に媚びを売る人間が、
安全な場所に隠れて戦争を賛美し、
他人には愛国心や犠牲精神を強制して
戦場へ送り出すことです。

宇宙を平和にするためには、
帝国と無益な戦争を続けるより先に、

まずその種の寄生虫を駆除することから
始めるべきではないでしょうか。

 
寄生虫とは我々のことか。

それ以外のものに聞こえましたか?

第33話 「要塞対要塞」

ローエングラム侯が簒奪を企むとしたら、
やはり皇帝を殺すのでしょうか?
いや、それはないと思うね。
7歳の子供を殺せば、政治云々より先に
人道的非難を浴びることは明らかだからね。
彼はそんな愚劣な選択はしないだろう。

そうですわね。

彼にはそれだけの器量がある。
だからこそ、多くの名将が彼のもとに集まるんだ。

昨年、イゼルローンにみえたキルヒアイス提督も、
立派な方でしたわ。

ああ。私はねぇ、彼の訃報を知ったとき、
古くからの友人を亡くしたような、
そんな気持ちにさせられた。
戦う相手通しの偽善だと言われるかもしれないが、
彼ならば同盟と帝国の共存のための架け橋に
なってくれたかもしれない、
そう思っていたんでね。

閣下は帝国と共存を願っておられるのですか?

とりあえず戦争が終わればいいと願っている。
別に、全人類社会が単一国家である必要はないさ。
同盟と帝国が併存していたって、一向に構わない。

専制国家とですか?

専制政治自体は絶対悪じゃない。
ただの政治の一形態にすぎないのさ。
要は、それを如何に社会のために
なるように運営していくかだ。
ローエングラム侯は、
効率的で公平な善政をしくだろう。
現に帝国は、その方向に改革されつつある。
実際、政治改革をドラスティックに進められるのは、
民主制より専制の方なんだ。
確かにそうですわね。
だが、専制政治によって
人類が統一されるのは避けるべきだと思う。

それは?

例えば、ローエングラム侯には
その力量があるかもしれない。
だが、彼の子孫は? 彼の後継者は?
常に名君が排出するとは限らない。
むしろ彼のような存在は、
何世紀に一人の奇跡のようなものだ。
そんな個人の資質に総てを掛けるような制度に、
人類を委ねるわけには行かないと思うのさ。 

第35話 「決意と野心と」

築いたにせよ奪ったにせよ、
最初の者は称賛を受ける資格がある。
それは当然だ。

だが、自分の実力や努力によることなく、
単に相続によって権力や富や名誉を手に入れた者が、

何を主張する権利があるというのだ。
血統による王朝などという存在自体がおぞましい。

権力は一代限りのもので、
それは譲られるべきものではない。
奪われるべきものなのだ。

すると宰相閣下は、ご自分の地位や権力を
お子さまにお継がせならないのですか?

子供? あぁ、私の子供か。
私の跡を継ぐのは、
私と同じかそれ以上の能力を持つ者だ。

そして、それは何も私が死んだ後とは限らない。
だが、私を背後から刺し殺して、
それで総てが手にはいると思う者は
実行してみればよいのだ。

ただし、失敗したらどんな結果がもたらされるか、
その点においては十分な想像力を働かせてもらおう。

歴史を作る人間がいなければ、
歴史を書く人の存在価値も
なくなるんじゃぁありませんか

ヤン提督。

なんだい。

僕、正式に軍人になりたいんです。
許可を頂けますか?

もし、どうしても駄目だというんなら、諦めます。

どうしてもなりたいのか?

はい。自由と平等を守る軍人になりたいんです。
侵略や圧政の手先になるような軍人ではなくて、
市民の権利を守るための軍人にです。

諦めると言ったけど、諦めてどうするんだ?

分かりません。いや、
その時は提督がなれとおっしゃるものになります。

お前、最初から駄目だと言われる事なんて
考えてないだろう。

そんなことはありません。

15年の時間差を甘く見るな、
それくらいお見通しだ。

すみません。

しょうがないなぁ、
そんな顔されたら駄目だなんて言えないじゃないか。

分かった。お前なら困りものの
軍人にはならないだろう。
なりたいものになりなさい。

ありがとうございます。
ありがとうございます、提督。

しかし、そんなに軍人になりたいかねぇ。
なぁ、ユリアン。

あまりガラにない話はしたくないんだが、
お前が軍人になるというのなら、

忘れてほしくないことがあるんだ。
軍隊は暴力機関であり、
暴力には2種類あるってことだ。

良い暴力と悪い暴力?

いやぁそうじゃない。
支配し抑圧するための暴力と
解放の手段としての暴力だ。

国家の軍隊という奴は、本質的に前者の組織なんだ。
残念なことだが、歴史がそれを証明している。
権力者と市民が対立したとき、
軍隊が市民の味方をした例は少ない。

それどころか、過去いくつもの国で、
軍隊そのものが権力機構と化して
暴力的に市民を支配さえしてきた。

昨年も、それをやろうとして失敗した奴らがいる。

でも、提督は軍人だけど、
それに反対なさったでしょう。

僕は提督みたいな軍人になりたいんです。
せめて志だけでも。

おいおい、そいつは困る。
私の志は軍隊にはないんだということを、
お前は良く知っているはずじゃないか。

歴史の研究ですか。

そうさ。ペンは剣よりも強し。
こいつは真理なんて
滅多に存在しない人間社会の中で、

数少ない例外の一つさ。
ルドルフ大帝を剣によって倒すことはできなかった。
だが、我々は彼の悪行を知っている、
それはペンの力だ。

ペンは、何百年も前の独裁者や
何千年も昔の暴君を告発することができるんだ。

ええ。でも、それは結局、
過去を確認できるというだけのことでしょう。

過去か。いいかい、ユリアン。
人類の歴史がこれからも続くとすれば、
過去という奴は無限に積み重ねられていく。
歴史とは過去の記録というだけでなく、
文明が現在まで継続しているという証でもあるんだ。
現在の文明は、
過去の歴史の集積の上に立っている、分かるかい。

はい。

生物は子孫に遺伝子を伝えることでしか、
長いときの流れの中で
己の存在を主張することはできない。

だが、人間だけが歴史を持っている。
歴史を持つことが、
人類を他の生物と違う存在にしているんだ。

だから私は歴史家になりたかったんだ。
それが、最初のボタンを掛け間違えたばっかりに、
この有様だもんなぁ。

でも、歴史を作る人間がいなければ、
歴史を書く人の存在価値も
なくなるんじゃぁありませんか。

 第37話 「幼帝誘拐」

テロリストどもによって、
皇帝エルウィン・ヨーゼフ陛下が
拉致されたことを正式に認める。

先刻、陛下のご所在と陛下を誘拐し奉った
不埒な犯人どもの正体が明らかになった。

その犯人は、旧体制下にあって
フェザーン駐在の高等弁務官として
私腹を肥やし続けた

ヨッフェン・フォン・レムシャイドを首謀者とする
旧門閥貴族の一党である。

きゃつらは、自由惑星同盟を僭称する
犯徒どもの中に逃げ込み、
不逞にも亡命政権の樹立を宣言した。

私は、ここに宣告する。
不法かつ卑劣な手段によって幼年の皇帝を誘拐し、

歴史を逆流させ、ひとたび確立された人民の権利を強奪しようと謀る門閥貴族の残党どもは、
その悪行に相応しい報いを受けることになろう。
彼らと野合し、宇宙の平和と秩序に不逞な挑戦を企む自由惑星同盟の野心家たちも、
同様の運命を免れることはない。
誤った選択は、正しい懲罰によってこそ
矯正されるべきである。

罪人に必要なのは、交渉でも説得でもない。
彼らには、そのテーブルにつく資格もなく、
意思もないのだ。

ただ力のみが、彼らの暗きを開かせるだろう。
今後、どれほど多量の血が
流されることになろうとも、

責任は、あげて愚劣な誘拐犯と
その共犯者とにあることを明記せよ。

第39話 「ひとつの旅立ち」

宇宙の始まりから存在したわけでもないものが、
宇宙の終焉まで続くはずがない。

お前をフェザーンにやるのは、
何よりもそれが軍命令だからだが、
私自身としても誰か信頼できる人間に、
フェザーンの内情を
見てきてもらいたい気持ちがあるからなんだ。
それでもやはり、行くのは嫌かな?

でも、状況がこう展開するとイゼルローンは、
また最前線になるでしょう。
僕は、こちらにいた方がお役に立つと思いますけど。

うん、実はそこなんだユリアン。
誰でも帝国軍はイゼルローン回廊から
進入してくるものと考えている。
そんな規則や法則があるわけでもないのにな。

でも、だとしたら何処から進入してくるんです?
銀河系の外側を大きく迂回するか、
あとはフェザーン回廊しかないじゃありませんか。
そうさ。ローエングラム侯にとって
最も有効な戦略は、
一軍をもってイゼルローンを包囲する一方で、
他の軍をもってフェザーン回廊を突破することさ。
彼にはそれだけの兵力があるし、
そうすれはイゼルローン要塞を陥落させなくとも、
その存在の意味自体をなくすことができる。

だけど、それでは帝国は
フェザーンを敵に回すことになりませんか?

うん、良い質問だが、
この際それは問題にしなくていい。
ローエングラム侯がフェザーン回廊の通過を実行するとしたら、二つの場合が考えられる。
一つは、フェザーンの抵抗を実力で排除できる場合。
もう一つは、フェザーンの抵抗を
考慮する必要がない場合だ。

つまり、ローエングラム侯とフェザーンが、
密かに手を結ぶということですか?

正解。ユリアン。
人は、現在の状況が
永遠に固定しているものと誤解しがちだ。
だけど考えてもごらん、銀河帝国なんて代物は
500年前には存在しなかった。
自由惑星同盟の歴史はその半分の長さだし、
フェザーンにいたっては
1世紀そこその歳月を経ただけだ。

ええ。

宇宙の始まりから存在したわけでもないものが、
宇宙の終焉まで続くはずがない。
必ず変化が訪れる。
今、その変化はローエングラム侯ラインハルト
という傑出した人格を借りて、
まず銀河帝国を席巻し、
ついで全人類を絡め取ろうとしているんだ。

それじゃぁ、銀河帝国は滅びると?

滅びるさ。いや、事実上はすでに滅んでいる。
実権はローエングラム侯の手中にあるし、
皇帝は国を捨てて逃げ出した。
名義の変更がされていないだけで、
実情はローエングラム王朝だよ。

おっしゃる通りですね。
それにしても、フェザーンがローエングラム侯と結ぶというのは、高い確率を持つんでしょうか?

A、B、Cと三つの勢力が存在していて、
AとBが対立抗争の関係にあるとする。
この場合、Cがとるべき道は、AがBに押されれば
Aを救い、BがAに圧迫されればBを助け、
両者の抗争を長引かせて共倒れさせる、
というものになるだろう。
しかし、Aの勢力が著しく増大し、
Bを助けてもAに対抗しがたいというとき、
CとしてはいっそAに協力して
共にBを討つという選択をするのではないかなぁ。

でも、そうすると圧倒的なまでに強大化したAは、
Bを滅ぼした余勢を駆ってCを攻撃し、
結局Cは滅亡への道を辿ることに
なってしまうんじゃありませんか?

そう、その通りだ。
私の考えのネックも実はそこにある。
フェザーンの富とその戦略的位置を
ローエングラム侯に提供してしまえば、
その結果フェザーンは
政治的独立を失うことになるかもしれない。
その辺りを彼らはどう計算しているのか。
あるいは、フェザーンの目的は
フェザーン自体の存続にはないのかもしれないな。
いや、こいつは飛躍しすぎた考えかもしれないし、
第一、何の証拠もあるわけじゃない。
フェザーンは、統一された新銀河帝国で
経済上の権益を独占するつもりなのではないか、
という辺りが一番妥当なところだろうが、
どうも今ひとつ自分自身を
納得させられないでいるところさ。

物質的な利益や打算でないとすれば、
精神的なものでしょうか?

精神?

例えば、イデオロギーとか宗教とか。

宗教か。そうだなぁ、それはあり得ることだ。
フェザーンを額面通り、
合理的な現実主義者の集団と思いこんでいると、
足をすくわれることになるかもしれない。
宗教か、なほどねぇ。

僕がフェザーンに行って、
少しでも彼らの政策や政略について
探ることができたら、
それに帝国軍の動向についても知ることができたら、それは閣下のお役に立てますね。
だったら、僕、喜んでフェザーンへ行きます。

ありがとう。でも、ユリアンが
フェザーンに行った方がいいと私が思うには
他にも理由があるんだ。

どういうことでしょう?

うん、どう言ったらいいかな。
山を見るにしても、一方からだけ見ていては
全体像がつかめないというか。
いや、それより、ちょっとお前に聞きたいんだが、
このまま行くと我々は、
どうやらローエングラム侯と死活を掛けて
戦わなくてはいけないらしいんだが、
そのローエングラム侯は果たして悪の権化だろうか?

えっ? それは違うと思いますが。

そりゃぁ、そうさ。悪の権化なんて、
三流のテレビドラマの中にしか存在しない。
むしろ悪と言うなら、今度、
同盟は帝国の旧体制派と手を組んだ。
少なくとも歴史の流れを逆転する側に
くみしたと言うことだ。
後世の歴史家は、
我々こそ悪の陣営と色分けするかもしれない。

まさか、そんなこと。

そういう観点も歴史にはあるということさ。
だけど人間は、自分が悪である
という認識に耐えられるほどに強くはない。
だから、それぞれの正義を信じて、
それを他人に押しつけようとして闘うのさ。

絶対的な正義なんて、
ありはしないということですか。

そう。だから、ユリアン、
お前がフェザーンに行って、
彼らの正義と私たちの正義との差を
目の当たりにすることができるとしたら、
それはたぶん、お前にとって
マイナスにはならないはずだ。
それに比較すれば、
国家の興亡など大した意義はない。
本当だよ、これは。

自由惑星同盟の興亡でもですか?

そうだなぁ、私が年金をもらう間ぐらい、
もってほしいけどね。
だが、歴史的意義から言えば、
自由惑星同盟は
ルドルフ・フォン・ゴールデンバームの
政治思想に対するアンチテーゼとして誕生したんだ。

はい。

専制に対する立憲制、
非寛容な権威主義に対する開明的な民主主義、
まぁ、そういったものを主張し、
実践してきたわけだが、
ルドルフ的なものがローエングラム侯の手で
一掃されてしまえば、
敢えて同盟が存続すべき理由もなくなる。
なぁ、ユリアン。人が必ずいつか死ぬように、
国家だって永遠にして不滅のものじゃない。
国家なんてものは単なる道具にすぎないんだ。
そのことさえ忘れなければ、
たぶん正気を保っていけるだろう。

分かりました。僕、フェザーンへ行ってきます。 

第41話 「作戦名『神々の黄昏』」

なるほど、帝国軍がフェザーンを通過する可能性か。
以前にも検討されたことはあるし、
対策案もあったんじゃが、

当時と今では我が国の国力が比較にならん。
実行は不可能じゃな。

ヤン提督は何と?

あー、現状で帝国軍のフェザーン通過を
阻止するとしたら、
フェザーン人の
市民レベルでの抵抗によるしかないと言ってきておる。

具体的には、ゼネストやサボタージュによって
フェザーンを補給基地化させないとか、

回廊を民間船で封鎖するとかじゃが。

上手くいくでしょうか?

いくとは限らない。
ヤン提督自身がそう書いておる。

それに、いけばいったで、
フェザーンの民間人を同盟の盾として
帝国軍の前に立たせることになり、

その罪は戦場で殺し合いをすることの比ではないともな。
じゃがぁ、フェザーン人には独立不羈の精神がある。
他国の軍事力には屈服しないというな。

じゃからいずれにしても抵抗は起きるじゃろう。
但し、それが帝国軍の侵攻が
現実のものとなってからでは遅い。

組織的な抵抗は難しくなるじゃろうし、
また実際に犠牲を伴うことにもなる。

そのくらいなら、あらかじめ手を打って
フェザーンの世論を喚起しておけば、

うまくすればそれが予防効果となって、
帝国がフェザーン通過を断念するかもしれんとな。

ふぅーむ、それにしてもヤン提督は先のことがよく見えるが、残念ながら手足が伴わない。
無論それは彼のせいではない。
彼にはそこまで能動的に行動する権限はないのだからな。

すると、制度のせいなのでしょうか?

制度か。制度のせいにするのは、
ワシとしては辛いな。

ワシは、自分が民主制共和国家の
軍人であることを誇りにしてきた。

そう、君と同じくらいの歳に二等兵になって以来、
ずぅーっとな。

民主制共和国が、軍人の権限を制限するのは
正しいとワシも思う。

軍人は、戦場以外で権力や権限を振るうべきではない。
また、軍隊が政府や社会の批判を受けずに肥大化し、
国家の中の国家と化するようでは、

民主政治は健全ではありえんだろう。
民主政治の制度は間違っておらん。

問題は、制度とそれを支える精神が乖離していることじゃ。
現在のところは、
建前の存在が本音の堕落をようやく防いでおるが、

さて、それもいつまでもつことやら。

どの様な上着をまとおうとも、
政治の実相は一つです。

総参謀長閣下。私思いますに、
どの様な上着をまとおうとも、
政治の実相は一つです。

ほぉう、それは何か?

少数による多数の支配です。
民主共和制は、
自由意思による多数派の支配を謳っているが。

全体を100として、
そのうち51を占めれば多数による支配を主張できます。

ところが、その多数派もいくつもの派閥に別れています。
即ち、その51のうち26を占めれば、
100という全体を支配できます。

多数支配などという共和制の建前が、
如何に虚しいものであるか、

明敏な閣下にはお分かり頂けると存じます。
政治の実相が、少数による多数の支配である以上、
安定させるには私のような者の存在は
不可欠でありましょうとも。

秘密警察がか。

治安維持のシステムがです。

秘密警察などというものは、
存在するというだけで一般大衆の憎悪の対象となる。

社会秩序維持局は先日解体されたが、
その責任者であった卿を処罰するように求める声も多いのだ。

開明派のカール・ブラッケのようにな。

ブラッケ氏には氏のお考えがありましょうが、
私、ただ朝廷に対して忠実たろうとしたのみ。

私利私欲のために権限を行使したことは
一度としてございません。

忠誠心を処罰の対象となさるなら、
ローエングラム侯ご自身にも
決して良い結果をもたらされますまい。

そのローエングラム侯も、あまり卿らのごとき存在を好んではおられぬようだが。

侯は、元々の武人。堂々たる闘いによって宇宙を征服なさろうとの気概をお持ちなのは当然。
しかしながら、時として一片の流言は
1万隻の艦隊に勝ります。

侯並びに総参謀長閣下のご賢察とご寛容を期待する者でございます。

私などはともかく、ローエングラム侯のご寛容に対して、卿は何をもってお応えするつもりだ。
そこが肝心なところだぞ。

それは、絶対の忠誠と総ての能力を上げて、
侯の覇業に微力ながら協力させていただきます。

その言は良し。だが一度解体した社会秩序維持局を復活させるわけにはいかん。
開明制作の後退として、非難されることにもなろうしな。名称を何か別のものを考えねばなるまい。

それなら、すでに考えてございます。
内国安全保障局、どうでしょう、この名は。

良い響きではありませんか。

古い酒は新しい革袋にだな。

酒の方もなるべく新しくしたいと存じます。

良かろう、せいぜい励むことだ。

第46話 「ヤン提督の箱舟隊」

私にとって政治権力という奴は、
下水処理場のようなものさ。

貴官にしては珍しく、
何か言いたいことをこらえているようだったが?

なぁに、こう思っただけです。
ハイネセンがもはや安泰であり得ないと知ったとき、

政府のお偉方は市民を見捨てて、
自分たちだけで難攻不落の
イゼルローンに逃げ込んでくるのではないか、どうです。
市民を守る義務を忘れて、
自分の安全のみ図るような輩には、
相応の報いがあってしかるべきです。

逃げ込んできたところを一網打尽にして、
ローエングラム侯にくれてやっても良し、

市民に対する背信の罪を問うて処罰しても良いでしょう。
その後は、あなたが名実共に頂点に立てばよい。
イゼルローン共和国というのも、
そう悪い考えではないように思えますが。

私にとって政治権力という奴は、
下水処理場のようなものさ。

なければ困るが、自分から近づきたいとは思わないね。

近づきたくて近づく人間ばかりではないでしょう。
今更指摘するのも妙なものですが、
あなたは軍人になりたくて
なったわけではないのですからねぇ。

軍人の延長線上に、
必ず独裁者がいるわけでもないと思うが、

もしそうなら、一層早く
こんなろくでもない家業から足を洗いたいねぇ。

独裁者を支持するのも民衆なら、
反抗して自由と解放を求めるのも民衆です。

私はこの国へ亡命して
そろそろ30年にもなろうというのに、
まだ回答できない問題があるのです。

つまり、民衆の大多数が
民主主義ではなく独裁を望んだとしたら、

そのパラドックスを
どう整合させるのかというやつですがね。

その疑問には、誰も答えられないだろうね。
だけど、人類が火を発見してから100万年も経つのに、
未だに火事は無くならない。

近代民主主義が成立してから、まだ2000年足らずだ。
結論を出すには早すぎると思うな。

100万年ですか?

まぁ、そんなことより、目前に急務があるわけだから、
まずそれをかたずけよう。

夕食の用意ができてもいないのに、
明日の朝食について論じても始まらないよ。

第48話 「双頭の蛇 ~ランテマリオの決戦~」

この通りの老いぼれで大して才能もないから、
先方が使ってくれるとは限らんがな。

帝国軍の陣形から見て、
その狙いはいわゆる双頭の蛇ではありませんか?

だとすれば、中央突破をはかるのは敵の思う壺、
危険が大きすぎると小官には思われます。

恐らく、いや疑いなく貴官の言うとおりだ。
だが、もはや他にとるべき戦法はない。

敵の陣形を逆用して中央部を突破し、
各個に撃破するしかあるまい。

おっしゃるとおりです。
それにしてもローエングラム侯は
天才の名に恥じませんな。

常に我々の先手をとり、戦略的に追いつめてから
実戦を仕掛けてくるのですから。

だから、ヤン・ウェンリーなどが
彼の天才を高く評価するんじゃ。
知っとるかね、スール少佐。

ワシはヤンから聞いたことがある。
自分が帝国に生まれておったら、
喜んで彼の旗のもとへ駆けつけたろうとな。

それは少し危険な発言ではありませんか?

どうしてかねぇ? 
ワシも全く同感じゃよう。

この通りの老いぼれで大して才能もないから、
先方が使ってくれるとは限らんがな。

自殺はいけません、司令長官閣下。
メルカッツ提督も敗戦の後、
命長らえたではありませんか。

宇宙艦隊が消失した以上、
司令長官だけが生きていても詮無いことだ。
そうは思わんかね、貴官は?

まだ宇宙艦隊は消失してしまってはおりません。
ヤン艦隊は尚健在です。

一隻でも艦艇が残っている限り、
司令長官には生きてこそ
責任をとっていただかなくてはならんのです。

ワシの指揮のもと、多くの戦死者を出してしまった。
孤児や未亡人をな。

彼らに対して、死ぬ以外に責任をとる道があると、
貴官は言うのかね。

自殺なさるのは、味方に対する責任を
とることにしかなりません。

私が問題にしているのは、敵に、
そう、勝利した敵に対しての責任のとりようです。

私がこれから申し上げることは、
極めて非人道的なことです。

もしお気に召さなければ、
その銃を私に対してお使いください。

この戦争の終結後、
帝国は戦争犯罪人の裁判を要求することになるでしょう。

その時、軍の最高幹部が、戦死であれ自殺であれ、
この世にいなければその下で働いていた者が代わりに
スケープゴートとして被告席に立たされるでしょう。

うむ。なるほど、分かった。
ワシは敵の銃口のために、
この老体を残しておかねばならない、
というわけじゃな。

閣下と私、それにドーソン本部長。
制服組から三名くらいは軍事法廷の被告が必要でしょう。

この辺りで、他に累が及ぶのを食い止めねばなません。
同盟の未来のために、ヤン・ウェンリーなどには
生き延びてもらわねばならないのです。

第51話 「バーミリオンの死闘(前編)」

ヤンの告白

大尉

はい

あぁ。少佐

はい

ミスグリーンヒル

はい?

フレデリカ

はい
(中略)
フレデリカ。あぁ、フレデリカ、
この闘いが終わったら…。

はぁ?

私は君より7歳も年上だし、何と言うか、
そのぉ生活人としては欠けたところがあるし、

色々と省みて、こんな事を申し込む資格が
あるかどうか疑問だし、

如何にも地位利用をしているみたいだし、
目の前に戦闘を控えて、

こんな事を申し込むのは不謹慎だろうし、
だけど言わなくて後悔するよりは、
言って後悔した方がいい。

困ったな、さっきから自分の都合ばかり言っている。
要するに…要するに、結婚してほしいんだ。

二人の年金を合わせたら、
老後も食べるには困らないと思いますわ。

それに、私の両親は8歳違いでした。
そのことをねもっと早く申し上げておくべきでしたわ。

そしたら…。あの、どうかなさいましたか?

返事を、まだしてもらってないんだが、
どうなんだろう。

えっ…。イエスです閣下。
イエスですわ、閣下。ええ、喜んで。

あぁ、ありがとう…。
何というか…。そのぉ、何と言って良いか。
何と言うべきか…。

〝はい〟の使い分けがすごいんですよ。
可愛いんですよ。ハマーン様の声だけどすごい可愛いの。

こいつは、なかなか立派な信念だと思うがね。

今更言うまでもないが、
ローエングラム侯は比類ない天才だ。

正面から同兵力で闘ったら、まず勝算はない。

かも、知れませんなぁ。
ですが、あなただってそう悪くはない。

今年に入ってから、帝国の名だたる用兵巧者を
立て続けに三人も手玉に取ったではありませんか。

あれは運が良かったのさ。いや、それだけではないが、
とにかく運が良かった。

いずれにしても、分散した敵の各艦隊が戻ってくる前に、
恐らく真っ先に駆けつけてくるのは
「疾風ウォルフ」だろうが、

それまでに決着をつけなくてはならない。
従って、我々は密集体型で敵陣を強行突破して
短期決戦に持ち込む。

幸い、敵は我々を殲滅しなければならないが、
我々はただ一隻、

総旗艦ブリュンヒルトを仕留めればいい。
そこに我々の有利さがある。
そういうわけで、戦闘が始まったら、
しばらくは不眠不休だ。

今の内にみんなも休んでおいてくれ。
勝てると思うかい、中将?

あなたに、本当に勝つ気があればね。

私は、心の底から勝ちたいと思っているんだがね。

いけませんなぁ、
ご自分で信じていらっしゃらないことを、
他人に信じさせようとなさっては。

あなたが、勝つことだけを目的とする
単純な職業軍人であるか、

権力だけを欲する凡俗な野心家であるか、
どちらかなら私としても
扇動するかいがあるんですがねぇ。

ついでに、自分自身の正義を信じて疑わない、
信念と責任感の人であれば、

いくらでもけしかけられる。
ところがあなたは、闘っている最中でさえ、
自分の正義を全面的には信じていない人ですからなぁ。

信念なんぞないくせに、闘えば必ず勝つ。
唯真的な精神主義者から見れば、
許し難い存在でしょうなぁ。困った人だ。

私は、最悪の民主政治でも、
最良の専制政治に勝ると思っている。

だから、ヨブ・トリューニヒト氏のために、
ラインハルト・フォン・ローエングラム侯爵と闘うのさ。

こいつは、なかなか立派な信念だと思うがね。

銀河帝国を創ったルドルフは、
民衆の支持によって皇帝になった。

最悪の民主政治の帰結する先に何があるか、
興味深いとは思いませんか?

逆説的ではありますがね、
最良の民主政治を生み出す土壌としては、

最悪の民主政治と最良の専制政治、
どちらが適しているんでしょうねぇ。

銀河英雄伝説 第53話 「急転」

要するに同盟は命数を使い果たしたのです。

あなたがたはまだ気づかないのですかな
ハードウェアがいかに強大でも
それを使う人間が肝心なのだと言うことに。

こうなる危険性をヤンは
ずっと指摘しておったではないですか。

それにとりあわずこうした事態に
いたらしめたのは誰です。

しかも、そうした最悪の状況の中で、
起死回生を計ろうとしている
ヤンの妨害にしかならないことを
あえて行おうというのですか。

自分達自身の身の安全と引き替えに。
要するに同盟は命数を使い果たしたのです。
政治家は権力を弄び、
軍人はアムリッツァーにみられるように
投機的な冒険にのめり込み。

いや、市民すら政治を一部の政治業者に委ね、
それに参加しようとしなかった。

民主主義を口で唱えながら
それを維持する努力を怠ったのです。
専制政治が倒れるのは君主と重心の罪だが、
民主政治が崩壊するのは
全ての市民の責任ですからな。

演説はそれで終わりかね?

そう。演説すべきときはすでに終わった。
もはや行動の時だ。
よろしいかな。トリューニヒト議長。
ワシは力尽くでもあなたを止めてみせますぞ。

民主政治が崩壊するのは全ての市民の責任です。

それもまた、お前さんの言うとおりだがな。

いゃぁ、わざわざ会いに来てくれたからには、
期待して良いのかな?

お前さんも俺と同意見で、
ヤン提督は停戦命令なんぞを
無視すべきだと思っている…と。

お気持ちは良く分かります。
でも、もしそんなことをしたら、
悪い前例が残ります。

軍司令官が、自分自身の判断をよりどころにして、
政府の命令を無視することが許されるなら、
民主政治は最も重要なことを、
国民の代表が軍事力をコントロールする
という機能を果たせなくなります。

ヤン提督に、そんな前例が作れると思いますか?

それでは聞くがな、
もし政府が無抵抗の民衆を虐殺するように命令したら、

軍人はそれに従わねばならんと思うのかね?

そんなことは無論許されません。
そんな非人道的な、軍人という以前に
人間としての尊厳を問われるような時には、

まず人間であらねばならないと思います。
その時は、政府の命令であっても、
背かなくてはなないでしょう。

でも、だからこそそれ以外の場合には、
民主国家の軍人として行動しなくてはならないときには、
政府の命令には従うべきだと思います。
でなければ、例え人道のために立ったとしても、
恣意によるものだとそしられるでしょう。

ぼうや。いや、ユリアン・ミンツ中尉。
お前さんの言うことは全く正しい。
だが、その程度の理屈は、俺にも分かっているんだ。
分かっていて、尚言わずにはいられないのさ。

ええ、良く分かります。

ヤン提督には、何よりまず政治的野心がない。
政治の才能もないかも知れない。
だが、ヨブ・トリューニヒトのように
国家を私物化し、
政治権力をアクセサリーにし、
自分に期待した市民を裏切るようなまねは、
ヤン提督にはできんだろう。

ええ。

ヤン提督の能力は、
歴史上の大政治家たちに比較すれば

とるに足らないものかもしれないが、
この際、比較の対象は、
ヨブ・トリューニヒト一人でいいんだ。

そう思います。僕も、そう思います。
でも、トリューニヒト議長は、
市民多数の意思で元首に選ばれたんです。
それが錯覚であったとしても、
その錯覚を是正するのは、

市民自身でなくてはいけないんです。
例えどんなに時間がかかっても、
職業軍人が武力によって
市民の誤りを正そうとしてはいけないんです。

そうなったら、二年前の
救国軍事会議のクーデターと同じです。

軍隊が国民を主導し、
支配することになってしまいます。

銀河帝国は、和平の代償として
ヤン提督の命を要求するかも知れない。

政府がそれに応じて、ヤン提督に死を命じたら、
その時はどうする?

唯々諾々として、それに従うのかね?

そんなことはさせません、絶対に。

だが、政府の命令には従わねばならんのだろう。

それは提督の問題です。これは僕の問題です。
僕は、ローエングラム侯に屈服した
政府の命令になど、従う気はありません。

僕が従うのは、ヤン・ウェンリー提督、
唯お一人の命令です。

提督が停戦を受け入れられたから、
僕も受け入れねばならないんです。

ユリアン。失礼な言いぐさだが、
お前さんは大人になったな。

俺もお前さんに見習って、
受け入れるべきは受け入れるとしよう。
だが、どうしても譲れないところもある、
それもまた、お前さんの言うとおりだがな。

第54話 「皇帝ばんざい!」

卿には是非会ってみたいと、
長いこと思っていた。
ようやく望みが叶ったというわけだ。

恐れ入ります。

卿とは色々と因縁がある。
3年前になるが、アスターテの会戦を覚えているか?

閣下から、通信文を頂きました。
「再戦の日まで壮健なれ」と。

お陰様で、悪運強く生きながらえております。

私は卿から返信をもらえなかった。

あぁ……非礼の限り申し訳ありません。

その借りを返せと言うわけではないが、
…どうだ私に仕えないか?

卿は元帥号を授与されたそうだが、
私も卿に報いるに、帝国元帥の称号をもってしよう。

今日では、こちらのほうが
より実質的なものであるはずだが。

身に余る光栄ですが、
辞退させていただきます。

何故だ?

私は恐らく、
閣下のお役にはたてないと思いますので。

謙遜か?
それとも、私は主君としての
魅力に欠けると言いたいのか?

そんなことはありません。
私が帝国に生を受けていれば、
閣下のお誘いを受けずとも、

進んで閣下の麾下に馳せ参じていたことでしょう。
ですが私は、帝国人とは違う水を飲んで育ちました。
飲み慣れぬ水を飲むと、
身体をこわす恐れがあると聞きます。

その水が、必ずしも卿に合っているとは思えぬ。
武勲の巨大さに比べ、
報われぬ事、
掣肘を受けることが、余りにも多くはないか?

私自身は、十分に報われていると思っております。
それに、この水の味が、私は好きなのです。

卿の忠誠心は、民主主義の上にのみある、
そういうことなのだな。

はぁ、まぁ…。

民主主義とは、それほど良いものかなぁ。
銀河連邦の民主共和制は、
行き着くところルドルフによる
銀河帝国を生み出す苗床となったではないか。

それに、卿の愛してやまぬことと思うが
祖国を私の手に売り渡したのは、

同盟の国民多数が
自らの意思によって選んだ元首自身だ。

民主共和制とは、人民が自由意思によって、
自分たちの制度と精神を貶める政体のことか?

失礼ですが、閣下のおっしゃりようは、
火事の原因になるからという理由で、

火そのものを否定なさるもののように思われます。

ふーん、そうかも知れぬが、
では専制政治も同じ事ではないのか?

時に暴君が出現するからと言って、
強力な指導性をもった
政治の功を否定することはできまい。

私は否定できます。

どの様にだ?

人民を害する権利は、人民自身にしかないからです。
言い換えますと、
ルドルフ・フォン・ゴールデンバームや、
またそれより遙かに小物ながら、

ヨブ・トリューニヒトなどを政権に就けたのは、
確かに人民自身です。他人を責めようがありません。

正に、肝心なのはその点であって、
専制政治の罪とは、
人民が政治の失敗を他人のせいにできる
という点に尽きるのです。

その罪の大きさに比べれば、
100人の名君の善政の功も小さなものです。

まして閣下、あなたのように
聡明な君主の出現が極めて希なものであることを思えば、

功罪は明らかなように思えるのですが。

卿の主張は大胆でもあり斬新でもあるが、
極端な気もするなぁ。

私としては、にわかに首肯はしかねるが、
それによって卿は、
私を説得することを試みているわけなのか?

いえ、そうではないのです。
私は、あなたの主張に対して
アンチテーゼを提出しているにすぎません。

一つの正義に対して、
逆の方向に同じだけの質と量をもった正義が
必ず存在するのではないかと、

私は思っていますので、
それを申し上げてみただけのことです。

正義は絶対でなく、一つでさえないと言うのだな。
それが卿の信念というわけか?

いやぁ、私がそう思っているだけで、
信念と言うほどのことではありません。

或いは宇宙には、唯一無二の真理が存在し、
それを開明する方程式が
あるかも知れないとも思いますが、

ただ、それに届くほど私の手は長くないのです。

だとしたら、私の手は卿よりも更に短い。
私は真理など必要としなかった。

自分の望むところのものを
自由にするだけの力が必要だった。

逆に言えば、嫌いな奴の命令を聞かずにすむだけの力がな。
卿はそう思ったことはないか?
嫌いな奴はいないのか?

後方で安楽な生活を送るような輩です。
こういう連中と同じ旗のもとにいるのは、
耐え難い苦痛です。あなたは違う。

常に陣頭に立っておいでてす。
失礼な申し上げようながら感嘆を禁じえません。

なるほど、その点だけは私を認めてくれるのだな。
素直に喜んでおこう。
あぁ…。
私には友人がいた。
その友人と宇宙を手に入れることを誓約し合ったとき、

同時にこうも誓ったものだ…
「卑劣な大貴族どもの真似はすまい、
 必ず陣頭に立って闘い勝利を得よう」と。

私は、その友人のためにいつでも犠牲になるつもりだった。
だが、実際には犠牲になったのは
いつも彼の方だった。
私は、それに甘えて、甘えきって、

ついには彼の命まで私のために失わせてしまった。
その友人が、今生きていたら、
私は生きた卿ではなく卿の死体と対面していたはずだ。

卿らの首都を占領している我が軍の指揮官から、
先刻報告が届いた。

卿の上官にあたる宇宙艦隊司令長官が申し出てきたそうだ、
「軍部の責任は総て自分がとるゆえ、
 他の者の罪は問わないで欲しい」と。

ビュコック司令長官らしいおっしゃりようです。
ですが、その様な申し出は退けてくださるよう、
閣下にお願いします。

長官一人に責任をとらせるのでは、
私たちに甲斐性がなさすぎるというものです。

ヤン提督。私は復讐者ではない。
帝国の大貴族どもにとってはそうであったが、
卿らに対しては、

あくまで互角の敵手であったと思っている。
軍部の最高責任者たる統合作戦本部長を
収監するのはやむを得ないが、
戦火が収まって後、尚、

無用な血を流すのは私の好むところではない。
ところで、卿を自由の身にしたら、
卿は今後どうするか?

退役します。

えっ?

銀河英雄伝説 第73話「冬バラ園の勅令」

銀河帝国皇帝を自称する
ラインハルト・フォン・ローエングラムなる者

銀河帝国皇帝を自称する
ラインハルト・フォン・ローエングラムなる者、

政治上の権利なくして最高評議会場の見学を申請す。
読んだとおりですが?

本来なら不敬罪で逮捕するところだが、
すぐに削除するなら不問にしよう。

削除したまえ。

できません。

すぐ削除するんだ!

お断りします!

帝国に占領されたが公僕として職務を果たそうとする
自由惑星同盟の公務員の台詞。

しかし一度公僕となった以上、
そのささやかな義務を果たさないわけにはいかない!

国有財産のリストを閲覧する権利は、
納税義務を果たしている
同盟市民にのみ帰するものだ。

また、政府公務員は同盟の法律および
自己の良心に基づいて職務を行うことになっている。

実のところ、私もこわい。命が惜しい。
しかし一度公僕となった以上、
そのささやかな義務を果たさないわけにはいかない!

同盟には優秀な政治家はいなかったが、
善良な公僕は多数いました。

皇帝への忠誠の誓約書とはなにか?

皇帝への忠誠の誓約書とはなにか?
自由惑星同盟には
選挙によって選ばれた元首はいても、
皇帝など存在しない。

存在しない者から命令される謂われはない!

小説『銀河英雄伝説』の名言集

銀河英雄伝説1 黎明篇

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戦場に着くまでは補給が、

戦場に着くまでは補給が、
着いてからは指揮官の質が、勝敗を左右する

恒久平和なんて人類の歴史上なかった。

恒久平和なんて人類の歴史上なかった。
だから私はそんなもの望みはしない。
だが何十年かの平和で豊かな時代は存在できた。
吾々が次の世代に何か遺産を
託さなくてはならないとするなら、
やはり平和が一番だ。

そして前の世代から手渡された平和を維持するのは、
次の世代の責任だ。

それぞれの世代が、
後の世代への責任を忘れないでいれば、

結果として長期間の平和が保てるだろう。
忘れれば先人の資産は食いつぶされ、
人類は一から再出発ということになる。 

要するに私の希望は、
たかだかこの先何十年かの平和なんだ。

だがそれでも、その十分ノ一の期間の
戦乱に勝ること幾万倍だと思う。

私の家に14歳の男の子がいるが、
その子が戦場に引き出されるのを見たくない。

あなたたちは何処にいるのか

私は権力を持った人たちに、
つねに問いかけてゆきたいのです。

あなたたちは何処にいるのか
兵士たちを死地に送りこんで
あなたたちは何処で何をしているのか、と 

ヤン・ウェンリー
「人間の社会には思想の潮流が二つあるんだ」

人間の社会には思想の潮流が二つあるんだ。
生命以上の価値が存在する、という説と、
生命に優るものはない、という説とだ。

人は戦いを始めるとき前者を口実にし、
戦いをやめるとき後者を理由にする。

銀河英雄伝説2 野望篇

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お前の生きる途を拡げることを考えなさい。

マリーンドルフ家のために
お前が犠牲になる必要はない。

むしろマリーンドルフ家を道具にして、
お前の生きる途を拡げることを考えなさい。

宝石を泥のなかへ放りこむようなもの。

忠誠心というものは、
その価値を理解できる人物に対して
捧げられるものでしょう。

人を見る目のない主君に忠誠をつくすなど、
宝石を泥のなかへ放りこむようなもの。
社会にとっての損失だとお考えになりませんか。

主義主張なんてものは・・・・・・
生きるための方便です。

主義主張なんてものは・・・・・・生きるための方便です。
それが生きるのに邪魔なら捨てさるだけのことで。

忠誠心ですか。

忠誠心ですか。
(中略)
美しいひびきの言葉です。

しかし、つごうのよいときに
濫用されているようですな。

今度の内戦は、忠誠心というものの価値について
みんなが考えるよい機会を与えたと思いますよ。
ある種の人間は、
部下に忠誠心を要求する資格がないのだ、

という実例を、
何万人もの人間が目撃したわけですからね。

――たしかに忠誠とは
無条件に発揮されるものではない。

それを受ける者とは、当然、
それなりの資格が必要であるはずだった。 

不動の信念などというしろもののほうが

人間は誰でも身の安全をはかるものだ。
歴史を見ても、
動乱時代の人間というものはそういうものだ。

それでなくては生きていけないし、
状況判断能力と柔軟性という表現をすれば、
非難することもない。

むしろ、不動の信念などというしろもののほうが、
往々にして他人や社会に
害を与えることが多いのである。

ヤン・ウェンリー「政治の腐敗とは」

政治の腐敗とは、
政治家が賄賂をとることじゃない。

それは個人の腐敗であるにすぎない。
政治家が賄賂をとっても
それを批判することができない状態を、
政治の腐敗というんだ。

貴官たちは言論の統制を布告した、
それだけでも、

貴官たちが帝国の専制政治や
同盟の現在の政治を

非難する資格はなかったと思わないか

活気に満ちた時代が来そうね。

活気に満ちた時代が来そうね。
もっとも、少々騒がしいけど、
沈滞しているよりはるかにましだわ。

銀河英雄伝説3 雌伏篇

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ヤン・ウェンリーの傍で、
大艦隊どうしの会戦を至近に見たことはある。

だが、その時判断し洞察し決断するのはヤンであり、
どれほど熱心で真摯であっても、

ユリアンは責任のない傍観者であったにすぎない。
だが、傍観者としてではなく、
当事者として戦うということは、

自分自身と、そして敵に対して
責任を持つということなのだ。

体制に対する民衆の信頼をえるには、

体制に対する民衆の信頼をえるには、
ふたつのものがあればよい。

公平な裁判と、同じく公平な税制度。
ただそれだけだ。

簒奪が世襲より悪いなどと、誰が定めたのか。

簒奪が世襲より悪いなどと、誰が定めたのか。
それは既得権を守ろうとする
支配者の自己正当化の論理にすぎないではないか。

簒奪や武力叛乱による以外、
権力独占を打破する方法がないのであれば、

変革を志す者がその唯一の道を選ぶのは
当然のことである。

とんだ贅沢だ。三十歳を過ぎて独身だなんて、

とんだ贅沢だ。三十歳を過ぎて独身だなんて、
許しがたい反社会的行為だと面わんか

生涯、独身で社会に貢献した人物はいくらでもいますよ。四、五百人リストアップしてみましょうか

おれは、家庭を持った上に社会に貢献した人間を、
もっと多く知っているよ

不完全な親を反面教師にして、
子供は自主独立の精神を養うんだ。

子供は完全な親を見ながら
育ったりするものじゃないさ。

むしろ、不完全な親を反面教師にして、
子供は自主独立の精神を養うんだ。

人間にとって最大の義務はなんだ?

人間にとって最大の義務はなんだ?
人間にかぎらん、生物全般にとってだが、
そいつは遺伝子を後世につたえて
種族を保存することだ。

あらたな生命を産み出すことだ。そうだろう?

ええ、ですから、人間にとって最大の罪悪は、
人を殺すことであり、
人を殺させることなんですよ。

軍人ってのは、職業としてそれをやるんです。

そういうふうに思考を進めんでもいいさ。
だが、罪を犯したとしてだ、
五人も子供を持てば、

ひとりぐらいは人道主義を奉じて、
父親の罪をつぐなう奴が出てくるかもしれん。

今日の食事のことはよく知らない。

お前さんの保護者は昨日のことはよく知っている。
明日のこともよく見える。

ところが、そういう人間はえてして
今日の食事のことはよく知らない。

まず頂上から腐りはじめる。
ひとつの例外もありません。

同盟の権力者たちは、
同盟それ自体を内部から崩壊させる
腐食剤として使えます。

およそ、国内が強固であるのに、
外敵の攻撃のみで滅亡した国家
というものはありませんからな。

内部の腐敗が、外部からの脅威を助長するのです。
そして、ここが肝腎ですが、国家というものは、
下から上へと向かって
腐敗が進むということは絶対にないのです。

まず頂上から腐りはじめる。
ひとつの例外もありません。

一流の権力者の目的は、
権力によって何をなすか、にあるが、

一流の権力者の目的は、
権力によって何をなすか、にあるが、

二流の権力者の目的は、
権力を保持しつづけること自体にあるからだ。

人間なくして国家は存立しえません。

国家が細胞分裂して個人になるのではなく、
主体的な意志を持った個人が集まって
国家を構成するものである以上、

どちらが主でどちらが従であるか、
民主主義社会にとっては自明の理でしょう。

人間は国家がなくても生きられますが、
人間なくして国家は存立しえません。

政治権力とジャーナリズムが結託すれば、

政治権力とジャーナリズムが結託すれば、
民主主義は批判と自浄の能力を欠くようになり、
死にいたる病に侵される。

幼児と権力者を甘やかし、

忍耐と沈黙は、あらゆる状況において
美徳となるものではない。

耐えるべきでないことに耐え、
言うべきことを言わずにいれば、
相手は際限なく増長し、

自己のエゴイズムがどんな場合でも通用する、
と思いこむだろう。

幼児と権力者を甘やかし、つけあがらせると、
ろくな結果にならないのだ。 

人間の行為のなかで、
何がもっとも卑劣で恥知らずか。

人間の行為のなかで、
何がもっとも卑劣で恥知らずか。

それは、権力を持った人間、
権力に媚びを売る人間が、
安全な場所に隠れて戦争を賛美し、

他人には愛国心や犠牲精神を強制して
戦場へ送り出すことです。

宇宙を平和にするためには、
帝国と無益な戦いをつづけるより、

まずその種の悪質な寄生虫を
駆除することから始めるべきではありませんか。 

神なんてしろものを考えだした人間は、

神なんてしろものを考えだした人間は、
歴史上最大のペテン師ですよ。

その構想力と商才だけは見上げたものです。
古代から近代にいたるまで
どこの国でも金持ちといえば
貴族と 地主と寺院だったじゃありませんか

未来の原因としての現在を、
よりたいせつになさるべきでしょうな。

先行投資の重要さというものが。
人間には現在はむろんたいせつですが、

どうせなら過去の結果としての現在より、
未来の原因としての現在を、

よりたいせつになさるべきでしょうな。

それが民主主義の原則である。

何も全人類社会が、単一の国家である必要はなく、
複数の国家が併存していてかまわないのだ。

問題は、政治をおこなう手段である。
歴史の進歩またはその流れの回復を、

ローエングラム公ラインハルトのように
傑出した一個人の手にゆだねるか、

自由惑星同盟のように、
能力も徳性も平凡な多くの人々が、
いがみあい、悩み、

妥協と試行錯誤を繰り返しながらも
責任を分けあって遅々たる歩みを進めていくか。

どちらの手段を選択するかなのだ。
専制君主を打倒した近代市民社会は、
後者の道を選んだ。

それは正しい選択だった、と、ヤンは思う。
ローエングラム公ラインハルトのように、
野心と理想と能力を具えた人物の出現は、

奇蹟――というより歴史の気まぐれのようなものだ。
彼は現在、銀河帝国の全権力を
一身に集中させている。
帝国宰相にして帝国軍最高司令官!

それはよろしい。
彼にはその双方の責務をはたす力量がある。
しかし、彼の後継者はどうか?

何百年かにひとり出現するかどうか、
という英雄や偉人の権力を制限する不利益より、

凡庸な人間に強大すぎる権力を
持たせないようにする利益のほうがまさる。

それが民主主義の原則である。

戦争を登山にたとえるなら

戦争を登山にたとえるなら
・・・・・・登るべき山をさだめるのが政治だ。

どのようなルートを使って登るかをさだめ、
準備をするのが戦略だ。

そして、与えられたルートを
効率よく登るのが戦術の仕事だ。

「人間」が犠牲になる必要など、

自由惑星同盟という国家が消滅しても、人間は残る。
「国民」ではなく、「人間」が、だ。

国家が消滅して最も困るのは、
国家に寄生する権力機構中枢の連中であり、
彼らを喜ばせるために、

「人間」が犠牲になる必要など、
宇宙の涯までその理由を探しても
見つかるはずがない。

これが名将の戦いぶりというものだ。

これが名将の戦いぶりというものだ。
明確に目的を持ち、
それを達成したら執着せずに離脱する。

血統による王朝などという存在自体がおぞましい

奪ったにせよ、きずいたにせよ、
最初の者は賞賛を受ける資格がある。
それは当然だ。 

……だが、自分の実力や努力によることなく、
単に相続によって権力や富や名誉を手に入れた者が、

何を主張する権利を持っているというのだ? 
奴らには、実力ある者に対して
慈悲を乞う道が許されるだけだ。

おとなしく歴史の波に消えていくことこそ、
唯一の選択だ。

血統による王朝などという
存在自体がおぞましいと私は思う。

権力は一代かぎりのもので、
それは譲られるべきものではない、
奪われるべきものだ。

剣よりペンが絶対に強い、と信じるヤンであった。

ヤンは自らを顧みる。
どれほど多くの敵と味方を殺し、
どれほど多くのものを奪い、

どれほどの回数にわたって敵をあざむいたことか。
それが現世において免罪されているのは、

単に、国家の命令に従ったから、
という一時によるにすぎない。

まことに、国家というものは、
死者をよみがえらせる以外のことは、
すべてなしうる力を有している。

犯罪者を免罪し、その逆に無実の者を牢獄へ、
さらに処刑台へと送りこみ、

平和に生活する市民に武器を持たせて
戦場へと駆り立てることもできるのだ。

軍隊とは、その国家において、
最大の組織された暴力集団なのだ。

「なあ、ユリアン。あんまり柄にない話を
 したくはないんだが、
 お前が軍人になるというのなら、

 忘れてほしくないことがある。
 軍隊は暴力機関であり、
 暴力には二種類あるってことだ。」

「いい暴力と悪い暴力?」
「そうじゃない。支配し、抑圧するための暴力と、
 解放の手段としての暴力だ。

 国家の軍隊というやつは・・・・・・」 
「本質的に、前者の組織なんだ。
 残念なことだが、歴史がそれを証明している。

 権力者と市民が対立したとき、
 軍隊が市民の味方をした例はすくない。

 それどころか、過去、いくつもの国で、
 軍隊そのものが権力機構と化し、

 暴力的に民衆を支配さえしてきた。
 昨年も、それをやろうとして失敗した奴らがいる」

剣よりペンが絶対に強い、と信じるヤンであった。
真理などめったに存在しない人間社会で、

これだけは数すくない例外だと思っているのだ。
「ルドルフ大帝を剣によって
 倒すことはできなかった。

 だが、吾々は彼の人類社会に対する罪業を
 知っている。それはペンの力だ。

 ペンは何百年も前の独裁者や何千年も昔の暴君を
 告発することができる。

 剣をたずさえて歴史の流れを
 遡行することはできないが、
 ペンならそれができるんだ」

「ええ、でもそれは結局、
 過去を確認できるというだけのことでしょう?」

「過去か! いいかい、ユリアン。
 人類の歴史がこれからも続くとすれば、
 過去というやつは無限に積みかさねられてゆく。

 歴史とは過去の記録というだけでなく、
 文明が現在まで継続しているという
 証明でもあるんだ。
現在の文明は、
 過去の歴史の集積の上に立っている。
 わかるかい?」

銀河英雄伝説4 策謀篇 

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暗殺とは過去の清算とはなりえても、

暗殺とは過去の清算とはなりえても、
未来の構築とはなりがたい 

恩を売り、こちらの立場を強化するには

恩を売り、こちらの立場を強化するには、
相手が窮地に立ったとき
救援の手をさしのべることである。

順境にある相手に恩着せがましく接近したところで、
歓迎されるはずがない。 

盗賊に三種類ある

盗賊に三種類ある、とは、
誰が言ったことであっただろうか。

暴力によって盗む者、
知恵によって盗む者、
権力と法によって盗む者

組織のなかにいる者が、

組織のなかにいる者が、
自分自身のつごうだけで
身を処することができたらさぞいいだろうと思うよ。

私だって、政府の首脳部(おえらがた)には、
言いたいことが山ほどあるんだ。

とくに腹だたしいのは、勝手に彼らが決めたことを、
無理に押しつけてくることさ。

絶対的な善と完全な悪が存在する、
という考えは、

絶対的な善と完全な悪が存在する、
という考えは、

おそらく人間の精神をかぎりなく荒廃させるだろう。
自分が善であり、対立者が悪だとみなしたとき、
そこには協調も思いやりも生まれない。

自分を優越化し、相手を敗北させ
支配しようとする欲望が正当化されるだけだ

それに比較すれば、
国家の興亡など大した意義はない。

彼らの正義と私たちの正義との差を
目のあたりに見ることができるとしたら、

それは、たぶんお前にとって
マイナスにはならないはずだ。

それに比較すれば、
国家の興亡など大した意義はない。

本気で不老不死を信じたりはしないのに、

どれほど非現実的な人間でも、
本気で不老不死を信じたりはしないのに、

こと国家となると、
永遠にして不滅のものだ
と思いこんでいるあほうな奴らが

けっこう多いのは不思議なことだと思わないか。

国家なんてものは単なる道具にすぎないんだ。

国家なんてものは単なる道具にすぎないんだ。
そのことさえ忘れなければ、
たぶん正気をたもてるだろう。

人類の文明が生んだ最悪の病は、

人類の文明が生んだ最悪の病は、
国家に対する信仰だろう、と、ヤンは思う。

だが、国家とは、人間の集団が生きていく上で、
たがいの補完関係を効率よくすすめるための
道具であるにすぎない。

道具に人間が支配されるのは愚かしいことだ。
いや、正確には、その道具のあやつりかたを
心得ている極少数の人間によって、

大多数の人間が支配されるのだろう。
そんな連中にユリアンが支配される必要はない、
と、ヤンは思う。

口にこそ出さないが、ユリアンがフェザーンのほうに住み心地のよさを覚えたら、
同盟など捨ててフェザーンの人間になってしまってもよいのだ、とさえ考えるヤンだった。

政治は軍事上の失敗をつぐなうことができる。

軍事が政治の不毛をおぎなうことはできない。
それは歴史上の事実であり、

政治の水準において劣悪な国家が
最終的な軍事的成功をおさめた例はない。

強大な征服者は、その前に必ず有為の政治家だった。
政治は軍事上の失敗をつぐなうことができる。

だが、その逆は真でありえない。
軍事とは政治の一部分、

しかも最も獰猛で
最も非文明的で最も拙劣な一部分でしかないのだ。

その事実を認めず、
軍事力を万能の霊薬のように思いこむのは、

無能な政治家と、傲慢な軍人と、
彼らの精神的奴隷となった人々だけなのである。

君には、他人を信頼させる何かがある、

君には、他人を信頼させる何かがある、
ということだろうかな。

おそらくヤン提督も他の連中も、
君にはいろいろなことを話していると思う。

そういうところを、君は大事にしていくことだ。
きっと今後の財産になるだろう。

自分でコントロールできる範囲の金銭は、

自分でコントロールできる範囲の金銭は、
一定の自由を保障する。

少数による多数の支配です。

私が思いますに、どのような上着をまとおうとも、
政治の実相はただひとつです。

少数による多数の支配です。
全体を100として、
そのうち51を占めれば、
多数による支配を主張できます。

ところがその多数派が
いくつかのグループに分裂しているとき、

51のうち26を占めれば、
100という全体を支配できます。

つまり、四分の一という少数を占めただけで、
多数を支配することが可能となります。

権力の座というものは、
それ自体が精神上の病巣であって、

権力の座というものは、
それ自体が精神上の病巣であって、

そこに安住しているかぎり、
視野の狭窄と思考の利己化とは
必然の病状となるのだろうか。

民主制共和国が、軍人の権限を制限するのは正しい、

民主制共和国が、軍人の権限を制限するのは正しい、
と、わしは思う。

軍人は戦場以外で権力や権限をふるうべきではない。
また、軍隊が政府や社会の批判を受けずに肥大化し、
国家のなかの国家と化するようでは、
民主政治は健全でありえんだろう。

人間がさだめた規則なら、
人間の手で破ることもできる

人間がさだめた規則なら、
人間の手で破ることもできると思います。

帝国のラインハルト・フォン・ローエングラム公爵のやりかたが、
万事、旧習にのっとったものとは、
ぼくには思えませんし、

今上の皇帝が祖国を捨てて亡命したという前例も、
ぼくは知りません。

あのローエングラム公なら、
勝つため、征服するためなら、

伝統や不文律など
平然と破ってのけるのじゃないでしょうか。

予言者より実行者のほうがはるかに

予言者より実行者のほうがはるかに
意味のある生をいきているのは、
自明のことではないか。

歴史のページをめくるためにここにあるのだ。

吾々はただ戦い征服するために
ここにあるのではなく、

歴史のページをめくるためにここにあるのだ。

銀河英雄伝説5 風雲篇 

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わしに誇りがあるとすれば

わしに誇りがあるとすれば、
民主共和制において軍人であったということだ。

わしは、帝国の非民主的な
政治体制に対抗するという口実で、

同盟の体制が非民主化することを容認する気はない。
同盟は独裁国となって存続するより、
民主国家として滅びるべきだろう。
(中略)

だが、実際、建国の理念と
市民の生命とが守られないなら、

国家それ自体に生存すべき
理由などありはせんのだよ。

というのは軍事上の常識だ。 

吾々は戦略的にきわめて不利な立場にあるし、
戦術レベルでの勝利が
戦略レベルでの敗北をつぐなえない
というのは軍事上の常識だ。 

戦略および戦術の最上なるものは、

戦略および戦術の最上なるものは、
敵を喜ばせながら罠にかけることだろうね。
(中略)

種をまいた後、ぐっすり眠って、
起きてみたら巨大な豆の木が
天にむかってそびえていた、
というのが最高だな。

私は覇者たろうと志してきたし、

フロイライン・マリーンドルフ、
私は覇者たろうと志してきたし、

それを実現するために
ひとつの掟を自分自身に科してきた。

つまり、自ら陣頭に立つことだ。
かつて戦って倒してきた能なしの
大貴族どもと私が異なる点はそこにある。

兵士たちが私を支持する理由もだ。

どうせ宇宙をこの手につかむなら、
手袋ごしにではなく、

フロイライン、
どうせ宇宙をこの手につかむなら、

手袋ごしにではなく、
素手によってでありたいと思うのだ。

部下をひきいる指揮官が
それをやるのは最低の悪徳である。

個人が勝算のない戦いを挑むのは趣味の問題だが、
部下をひきいる指揮官が
それをやるのは最低の悪徳である。

愛国心が人間の精神や人類の歴史にとって

愛国心が人間の精神や人類の歴史にとって
至上の価値を有するとは、ヤンは思わない。

同盟人に同盟人なりの愛国心があり、
帝国人に帝国人なりの愛国心がある

――結局、愛国心とは、ふりあおぐ旗のデザインが
たがいに異なることを理由として、

殺戮を正当化し、ときには強制する心情であり、
多くは理性との共存が不可能である。

とくに権力者がそれを
個人の武器として使用するとき、
その害毒の巨大さは想像を絶する。

国家というサングラスをかけて事象をながめると、

ユリアン。
戦っている相手国の民衆なんてどうなってもいい、
などという考えかただけはしないでくれ。

国家というサングラスをかけて事象をながめると、
視野がせまくなるし遠くも見えなくなる。

できるだけ、敵味方に
こだわらない考えかたをしてほしいんだ。

ジョークだけでは生きられないが、
ジョークなしでは生きたくないね、おれは

部屋で寝ている

くだらんことを堂々という奴だな

くだらないかね

ジョークだったらくだらんし、
事実だったらいっそうくだらん

お前さんはジョークのほうが好きだからな 

ジョークだけでは生きられないが、
ジョークなしでは生きたくないね、おれは

お前さんは存在自体がジョークだろうが

……このところ悪意の表現に
みがきがかかったのとちがうか、コーネフさん

いやいや、もてない男の嫉妬にすぎませんよ、
気にしないでください、ポプランさん

失われたものの何と巨大なこと、

失われたものの何と巨大なこと、
失ってはならぬものを失った愚かさの
何と深いことであろう。 

卑劣を承知で、この際は利用するしかありません。

おそらくヤン・ウェンリーは、
権力より貴重なものがあるということを、

理念でなく、皮膚で感じている
人物なのではないかと思います。

それは賞賛すべき気質とは思いますけど、
卑劣を承知で、この際は利用するしかありません。

権力者というものは、

これでいいでしょう。
権力者というものは、
一般市民の家が炎上したところで
眉ひとつ動かしませんが、

政府関係の建物が破壊されると
血の気を失うものです。

お気持ちはよくわかります。
でも、もしそんなことをしたら、
悪い前例が歴史に残ります。

軍司令官が自分自身の判断をよりどころにして
政府の命令を無視することが許されるなら、

民主政治はもっとも重要なこと、
国民の代表が軍事力をコントロールする
という機能をはたせなくなります。

ヤン提督に、そんな前例をつくれると思いますか。

それでは聞くがな、もし政府が
無抵抗の民衆を虐殺するよう命令したら、

軍人はその命令にしたがわねばならんのかね。

そんなことは、むろん許されません。
そんな非人道的な、

軍人という以前に人間としての尊厳さを問われるようなときには、
まず人間であらねばならないと思います。
そのときは政府の命令であっても、
そむかなくてはならないでしょう。

でも、だからこそ、それ以外の場合には、
民主国家の軍人としてまず
行動しなくてはならないときには、

政府の命令にしたがうべきだと思います。
でなければ、たとえ人道のために起ったとしても、
恣意によるものだとそしられるでしょう。

その錯覚を是正するのは、
どんな時間がかかっても、

でも、トリューニヒト議長は
市民多数の意志で元首に選ばれたんです。
それが錯覚であったとしても。

その錯覚を是正するのは、どんな時間がかかっても、
市民自身でなくてはいけないんです。

職業軍人が武力によって
市民の誤りを正そうとしてはいけないんです。

そうなったら二年前の、
救国軍事会議のクーデターと同じです。

軍隊が国民を指導し
支配することになってしまいます。

あなたのなさることが

わたしにはわかりません。
あなたのなさることが正しいのかどうか。

でも、わたしにわかっていることがあります。
あなたのなさることが、
わたしはどうしようもなく好きだということです。 

専制政治の罪とは、人民が政治の害悪を

人民を害する権利は、
人民自身にしかないからです。
言いかえますと、

ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム、
またそれよりはるかに小者ながら
ヨブ・トリューニヒトなどを政権につけたのは、

たしかに人民自身の責任です。
他人を責めようがありません。

まさに肝腎なのはその点であって、
専制政治の罪とは、
人民が政治の害悪を
他人のせいにできるという点につきるのです。

その罪の大きさにくらべれば、
100人の名君の善政の功も小さなものです。

まして閣下、あなたのように
聡明な君主の出現がまれなものであることを思えば、

功罪は明らかなように思えるのですが・・・・・・。

私がきらいなのは、

私がきらいなのは、
自分だけ安全な場所に隠れて戦争を賛美し、
愛国心を強調し、

他人を戦場にかりたてて後方で
安楽な生活を送るような輩です。

こういう連中と同じ旗のもとにいるのは、
耐えがたい苦痛です。

銀河英雄伝説6 飛翔篇 

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公正さに背いても既得権を確保したい、と望み

公正さに背いても既得権を確保したい、と望み、
反対者を抑圧することによって
その確保を絶対のものとしようとする精神のどこに、

向上と進歩への余地が残されているであろうか。 

信頼にたる専門家を見ぬく目だ

彼女に言わせれば、ワインにも宝石にも
専門家がいるので、
蘊蓄は彼らにまかせておけばよい、

自分たちに必要なのは
信頼にたる専門家を見ぬく目だ、というのである。

特定宗教に対する狂信ほど、

特定宗教に対する狂信ほど、
それと無縁な人間の反発と嫌悪をそそるものはない。

誰がめんどうな政治に参加するだろう。

専制君主の善政というものは、
人間の政治意識にとって
もっとも甘美な麻薬ではないだろうか、

と、ヤンは思う。
参加もせず、発言もせず、思考することすらなく、
政治が正しく運営され、

人々が平和と繁栄を楽しめるとすれば、
誰がめんどうな政治に参加するだろう。

しかし、なぜ人々はそこで
想像力をはたらかせないのか。
人々が政治をめんどうくさがるとすれば、

専制君主もそうなのだ。
彼が政治にあき、無制限の権力を、

エゴイズムを満足させるために
濫用しはじめたらどうなるか。

権力は制限され、批判され、
監視されるべきである。

ゆえに専制政治より
民主政治のほうが本質的に正しいのだ。

信念とは、あやまちや愚行を
正当化するための化粧であるにすぎない。

だが、何かをなそうとするときには、
思考停止が必要なようだった。

多くは、人が「信念」と呼ぶものである。
自分は正しく、
反対する者は
悪だと思いこまねばならないとすれば、
ヤンは大事業などできそうになかった。

「信念とは、あやまちや愚行を
 正当化するための化粧であるにすぎない。

 化粧が厚いほど、その下の顔はみにくい。」
「信念のために人を殺すのは、
 金銭のために人を殺すより下等なことである。

 なぜなら、金銭は万人に共通の価値を有するが、
 信念の価値は当人にしか通用しないからである」 

圧倒的な武力とは、

圧倒的な武力とは、
人間のもつ本能の最悪の部分と共鳴して、
その濫用をうながす。

この世でもっとも醜悪で卑劣なことはな、

この世でもっとも醜悪で卑劣なことはな、
実力も才能もないくせに相続によって
政治権力を手にすることだ。

それにくらべれば、簒奪は一万倍もましな行為だ。
すくなくとも、権力を
手に入れるための努力はしているし、

本来、それが自分のものでないことも
知っているのだからな。

道を切りひらく者とそれを舗装する者とが

道を切りひらく者とそれを舗装する者とが
同一人であらねばならぬこともなかろう。

民主国家の市民には

法にしたがうのは市民として当然のことだ。
だが、国家が自らさだめた法に背いて
個人の権利を侵そうとしたとき、

それに盲従するのは市民としてはむしろ罪悪だ。
なぜなら民主国家の市民には、

国家の侵す犯罪や誤謬に対して異議を申したて、
批判し、抵抗する権利と義務があるからだよ。

彼は闘争のすべてを否定はしなかった。

彼は闘争のすべてを否定はしなかった。
不当な待遇や権力者の不正を受けいれ、

それに抵抗しない者は、
奴隷であって市民ではなかった。

自分自身の正当な権利が
侵害されたときにすら闘いえない者が、

他人の権利のために闘いうるはずがない。

おとなになるってことは、

おとなになるってことは、
やりたいことと
やらねばならぬことを区別することさ。

自分が犠牲にならずにすむなら、

だが、結局のところ、
あなたたち権力者はいつでも切り捨てるがわに立つ。

手足を切りとるのは、たしかに痛いでしょう。
ですが、切り捨てられる手足から見れば、

結局のところどんな涙も自己陶酔にすぎませんよ。
自分は国のため私情を殺して筋をとおした、
自分は何とかわいそうで、しかもりっぱな男なんだ、

というわけですな。『泣いて馬謖を斬る』か、ふん。
自分が犠牲にならずにすむなら、
いくらだってうれし涙が出ようってものでしょうな。

銀河英雄伝説7 怒濤篇

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名君にとって最大の課題は、
名君でありつづけることなのである。

名君にとって最大の課題は、
名君でありつづけることなのである。

名君として出発し、暗君または暴君として
終わらなかった例は、ごく珍しい。

君主たる者は、歴史の審判を受ける以前に、
自らの精神の衰弱に耐えねばならないのだった。

立憲君主であれば、憲法や議会に責任の一部
あるいは大半をゆだねることができるが、

専制君主がたのみうるものは
自分自身の才能と器量と良心のみであった。

最初から統治者としての責任感を欠く者なら
かえって始末がよい。

名君たろうとして挫折した者こそ、
往々にして最悪の暴君となるのである。

民主国家の軍隊が存在する意義は

ヤン・ウェンリーは何かと欠点の多い男ですが、
何者も非難しえない美点をひとつ持っています。

それは、民主国家の軍隊が存在する意義は
民間人の生命を守ることにある、

という建前を本気で信じこんでいて、
しかもそれを一度ならず
実行しているということです。

人類社会が単一の政体によって
統合される必然性などないのだ。

単一の、しかも個人の資質によりかかった
安易な政体が全宇宙を支配するのが、

許されるべきではないのである。
唯一絶対の神に唯一絶対の
大義名分を押しつけられるより、

群小の人間がそれぞれのせまい
愚劣な大義名分を振りかざして
傷つけあっているほうが、
はるかにましだ。
すべての色を集めれば黒一色に化するだけであり、
無秩序な多彩は純一の無彩にまさる。

人類社会が単一の政体によって
統合される必然性などないのだ。

むほん気は独立独歩の源だからな。

ユリアンはもうすこしむほん気を持つべきだ。
むほん気は独立独歩の源だからな。 

民主主義とは対等の友人をつくる思想であって

民主主義とは対等の友人をつくる思想であって、
主従をつくる思想ではないからだ
(中略)

わしはよい友人がほしいし、
誰かにとってよい友人でありたいと思う。

だが、よい主君もよい臣下も持ちたいとは思わない。
だからこそ、あなたとわしは
同じ旗をあおぐことはできなかったのだ。

ご好意には感謝するが、
いまさらあなたにこの老体は必要あるまい。

みごとな死というものは

つまるところ、みごとな死というものは
みごとな生の帰結であって、

いずれか一方だけが
孤立することはないように思える。

たぶん人間は自分で考えているよりも

たぶん人間は自分で考えているよりも
はるかに卑劣なことができるのだと思います。

平和で順境にあれば、
そんな自分自身を再発見せずに
すむのでしょうけど・・・・・・ 。

自分の夫が友情にうすい人間だったなんて

当然です。あなたが自分ひとり地位を守って
友人を見すてるような人なら、

私はとうに離婚していましたよ。
自分の夫が友情にうすい人間だったなんて
子供に言わなきゃならないのは、
女として恥ですからね。

なぜなら民主主義とは
力を持った者の自制にこそ神髄があるからだ。

ユリアン、吾々は軍人だ。
そして民主共和政体とは、
しばしば銃口から生まれる。

軍事力は民主政治を産み落としながら、
その功績を誇ることは許されない。

それは不公正なことではない。
なぜなら民主主義とは
力を持った者の自制にこそ神髄があるからだ。

強者の自制を法律と機構によって
制度化したのが民主主義なのだ。

そして軍隊が自制しなければ、
誰にも自制の必要などない。 

銀河英雄伝説8 乱離篇

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専制政治おける権力悪が、
民主政治におけるそれより兇暴である理由は、

専制政治おける権力悪が、
民主政治におけるそれより兇暴である理由は、

それを批判する権利と矯正する資格とが、
法と制度によって確立されていないからである。

運命というならまだしもだが、
宿命というのは、じつに嫌なことばだね。

運命というならまだしもだが、
宿命というのは、じつに嫌なことばだね。

二重の意味で人間を侮辱している。
ひとつには、状況を分析する思考を停止させ、
もうひとつには、

人間の自由意志を価値の低いものとみなしてしまう。宿命の対決なんてないんだよ、ユリアン、
どんな状況のなかにあっても
結局は当人が選択したことだ。

(中略)
ヤンは、自分の選択を「宿命」という
便利なことばで正当化したくなかったのだ。

自分が絶対的に正しいのだ、
と思ったことはヤンは一度もない。

いつも、もっとよい方法があるのではないか、
より正しい道があるのではないか、

と思いつづけてきた。
士官学校の一学生だったころも、
大軍を指揮する身になってからもそうだった。

彼を信頼してくれる人、
彼を非難する人は多く存在したが、

彼にかわって考えてくれる人はいなかった。
だからヤンは、自分の才能と器量の範囲内で考え、
思い悩まなくてはならなかったのだ。

「宿命」と言ってすませられるなら、
そうしたほうがずっと楽だった。

だがヤンはまちがうにしても
自分の責任でまちがいたかったのだ。

人は人にしたがうのであって、

つまりは、人は人にしたがうのであって、
理念や制度にしたがうのではないということかな。 

戦争やテロリズムは何よりも、

戦争やテロリズムは何よりも、
いい人間を無益に死なせるからこそ
否定されねばならない。

これはあなたの責任であり義務ですよ。

ユリアン、これはあなたの責任であり義務ですよ。
あなたはヤンご夫妻の家族だったんですからね。

あなた以外の誰が話すというの。
もし話さなかったら、
話したとき以上に後悔するわよ。

革命のために戦うのではなくて、
革命家のために戦うんだ。

人間は主義だの思想だののためには戦わないんだよ! 
主義や思想を体現した人のために戦うんだ。

革命のために戦うのではなくて、
革命家のために戦うんだ。

英雄として生まれるのではない。 

誰でも、英雄になるのであって、
英雄として生まれるのではない。 

戦争やテロの罪悪は

いい人間、りっぱな人間が、無意味に殺されていく。
それが戦争であり、テロリズムであるんだ。

戦争やテロの罪悪は
結局そこにつきるんだよ、ユリアン。

戦術は戦略に従属し、

戦術は戦略に従属し、
戦略は政治に、
政治は経済に従属するというわけさ。

銀河英雄伝説9 回天篇 

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つぎの走者に手わたす責任があるのにちがいなかった。

こうやって、想いというものは
受けつがれていくのだろうか。

ヤン・ウェンリーの想いを、
自分が受けついだように。

すべてではないにしても、いや、
ほんのわずかだけにしても、
彼の想いを分かちあたえられたように。

年長者から年少者へ、先人から後継者へ、
想いのたいまつはリレーされていくのだろうか。
その火を貴重に思う者は、それをたやすことなく、
つぎの走者に手わたす責任が
あるのにちがいなかった。

あなたは何百万人もの人を殺したかもしれないけど、

わたしは、たしかにあなたを失いました。
でも、最初からあなたが
いなかったことに比べたら、
わたしはずっと幸福です。

あなたは何百万人もの人を殺したかもしれないけど、
すくなくともわたしだけは
幸福にしてくださったのよ。

偉大な敵将と戦うのは武人の栄誉だが、

偉大な敵将と戦うのは武人の栄誉だが、
民衆を弾圧するのは犬の仕事にすぎぬ。 

何かを憎悪することのできない人間に、

いや、ユリアン、そうではないと思う。
何かを憎悪することのできない人間に、
何かを愛することができるはずがない。
私はそう思うよ。

ただ、ヤンのことばを拡大解釈してはならない。
ヤンは憎悪を奨励しているのではなく、

「愛がすべてを解決する」
という思考の基本的な矛盾を指摘しているのだ。

それを見あやまってはならなかった。

生涯の最後、全期間の1パーセントに

生涯の最後、全期間の1パーセントに
満たぬ時期の行動によって、

それまでの生涯と功績が
すべて否定されてしまうという、

不幸な人間たちの群像に、
彼も加わることになるのだ。

銀河英雄伝説10 落日篇

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もっとも忌むべきは希望的観測であり、
勘と称して思考を停止することだった。

正確な判断を下すには、
豊富で多面的な情報を収集し、

それを感情を排除して分析しなくてはならない。
もっとも忌むべきは希望的観測であり、
勘と称して思考を停止することだった。

戦いによってもたらされる犠牲を承知して、

戦いによってもたらされる犠牲を承知して、
なお目的を達しようとするか、
その手前であきらめ、
現実と妥協し、
さらには現実に膝を屈し、
自力で状況を改善する努力をおこたるか。

どちらが人として認められる行きかたか。

まさしく、それが問題なのだ。

もっとも卑劣に感じられる手段が、
もっとも有効に流血の量を減じえるのだとしたら、

人はどうやって正道を求めて苦しむのか。
オーベルシュタインの策謀は、成功しても、

それによって人々を、すくなくとも
旧同盟の市民たちを
納得させることはできないだろう。

納得できないということ。
まさしく、それが問題なのだ。

落とし穴の上に金貨を置いておくのさ。

相手の予測が的中するか、願望がかなえられるか、
そう錯覚させることが、

罠の成功率を高くするんだよ。
落とし穴の上に金貨を置いておくのさ。

わたしの人生を豊かにしてくださって。

ありがとう、あなた、
わたしの人生を豊かにしてくださって。

人間の集団という奴は、

人間の集団という奴は、
話しあえば解決できるていどのことに、

何億リットルもの血を流さなきゃならないのかな。

生き残った者にとって、旅はつづく。

生き残った者にとって、旅はつづく。
いつか死者たちと合流する日まで。

飛ぶことを許されず、
その日まで歩きつづけなくてはならないのだ。

良質の製品を売って信用をえて

まあ、何にしても、
良質の製品を売って信用をえて
事業を拡大するのは、いいことです。

政治は、それを蔑視した者に対して、
かならず復讐するのだ。

「ね、ユリアン、とにかくバーラト星系は
 民主主義の手に残るのね」

「そう」
「たったそれだけなのね、考えてみると」
「そう、たったこれだけ」
ユリアンは、かすかに笑った。
たったこれだけのことが実現するのに、
500年の歳月と、数千億の人命が必要だったのだ。

銀河連邦の末期に、
市民たちが政治に倦まなかったら。

ただひとりの人間に、
無制限の権力を与えることがいかに危険であるか、

彼らが気づいていたら。
市民の権利より国家の権威が
優先されるような政治体制が、

どれほど多くの人を不幸にするか、
過去の歴史から学びえていたら。
人類は、よりすくない犠牲と負担で、
より中庸と調和をえた政治体制を、
より早く実現しえたであろうに。
「政治なんておれたちに関係ないよ」
という一言は、

それを発した者に対する権利剥奪の宣告である。
政治は、それを蔑視した者に対して、
かならず復讐するのだ。

ごくわずかな想像力があれば、
それがわかるはずなのに。 

凍てついた永劫と、一瞬の燃焼と、

あれらの星々は、いずれも数億年、
数十億年の生命を閲している。

人類が誕生するはるか昔から輝きつづけ、
人類が死滅しきった後も輝きつづけるだろう。

人の生命は、星の一瞬のきらめきにもおよばない。
そんなことは古来からわかりきったことである。

だが、星の永遠と、人の世の一瞬とを認識するのは、
人であって星ではない。

お前もいつか感じるようになるだろうか。
凍てついた永劫と、一瞬の燃焼と、

人はどちらを貴重なものと見なすのか、
ということを。

一瞬だけかがやいた流星の軌跡が、
宇宙の深淵と人の記憶とに
刻印されることがあるということを。 

よい人が何の罪もないのに

よい人が何の罪もないのに
無惨な殺され方をするからこそ、

戦争や独裁政治は否定されなければ
ならないのではありませんか?

銀河帝国の軍隊は、皇帝が必ず陣頭に立つ。

戦うにあたり、
卿らにあらためて言っておこう。

ゴールデンバウ王朝の過去はいざ知らず、
ローエングラム王朝あるかぎり、

銀河帝国の軍隊は、皇帝が必ず陣頭に立つ。
予の息子もだ。
ローエングラム王朝の皇帝は、
兵士の背中に隠れて、
安全な宮廷から戦いを指揮したりすることはせぬ。

卿らに誓約しよう。
卑怯者がローエングラム王朝において、
至尊の座を占めることは、けっしてない、と…

銀河英雄伝説外伝5 短篇集

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おれでもごめんこうむりたい命令だな。

今日、おれの軍人生活で最低最悪の命令を受けた。
どんな命令か聞きたいか

ぜひ、そう願いたいね

あんたと組めとさ。
あんたが司令官、おれが参謀長。

どうだ、ひどい話だろうが

ほう……
そりゃ、おれでもごめんこうむりたい命令だな。
おれと組めっていうのは……

人事の王道とは言えんかもしれんが、

人事の王道とは言えんかもしれんが、
トラブル・メーカーを
最上位に据えておくほうが、

中間に置いておくより、
えてしてしまつがよいものさ。

その点は私の経験を信頼してくれていい

わが軍には軍歌なんぞない。

わが軍には軍歌なんぞない。
あるのは『給料どろぼうのワルツ』と
『ごくつぶしのタンゴ』だ

上層部は無能者ばかり甘やかす。

上層部は無能者ばかり甘やかす。
仲間意識ってやつも、
ほどほどにしてもらいたいもんだ

他人を引きずりこもうとしているだけのことです

それほど崇高な仕事なら、
他人にも喜びと感激を分けてやりたいものですな。

私ひとりが押しつけられるのは不公平じゃないですか

トパロウル中将、
君は人生を損得勘定でしか考えないのかね。

いささか寂寥をもたらす人生観に思えるのだが……

損をしたことのない人にかぎって、
その種の説教がお好きでいらっしゃる。

いい気なものだとしか私には思えませんね

そうともかぎるまい。
君の表現をもってすればだ、
現に実社会で損をしている人が、

他人に犠牲的精神の美しさを
説くことだってあるだろうが

それは自分ひとりが損をするのがいやだから、
他人を引きずりこもうとしているだけのことです

民主主義は食えませんが、
デザートは食えますね、それもおいしく

もしここで敗北すれば、建国の父アーレ・ハイネセン以来、
一世紀余にわたる吾々の努力は水泡に帰する。
人類社会はふたたび専制政治の支配するところとなるのだ

一大事ですなあ、そいつは

食欲があってけっこうだね

食いたいものも食わせてくれないような
国家や社会のために死ぬ必要はない。

それが民主主義の原則です。ちがいますか?

君の論法は極端すぎる

極端化は象徴化につながり、
事態の本質を明らかにしますよ

そうかね、私には、君が
民主主義よりデザートを
重んじているようにしか聞こえないがね

民主主義は食えませんが、
デザートは食えますね、それもおいしく

古来、補給線が長いがわの軍隊が敗れる

いまさら言うのもおかしいが、
古来、補給線が長いがわの軍隊が敗れる
というのは軍事史上の常識だ

補給線の短いがわが、
戦術レベルで致命的な失策を犯さないかぎりはな

天才が存在すること、
天才が組織の中でどう生きるかということ

……リン・パオ、
ユースフ・トパロウルの両元帥は天才であった。

それは疑いえないことである。
ただし、天才が存在すること、

天才が組織の中でどう生きるかということ、
組織が天才をいかに遇するかということは、

それぞれ異なった問題であり、
三者を整合させるのは必ずしも容易ではない……

一介の参謀である。

検察官は言われる。
被告には帝国軍撤退の全責任がある、と。
しかし被告は総司令官にあらず、
一介の参謀である。
検察官は言われる。
被告は勝利のための作戦をたてなかった、と。
しかし被告は参謀長にあらず、
一介の参謀である。
検察官は言われる。
被告は補給物資を横流しして味方を害した、と。
しかし被告は主計官にあらず、
一介の参謀である。
検察官は言われる。
被告は味方の通信を妨害し、
ために戦況は味方の不利になった、と。
しかし被告は通信監にあらず、
一介の参謀である。
一介の参謀!
たかだか一介の参謀が、
遠征軍の総指揮、作戦、補給、
通信の各分野にわたって
最高度の権限を有する
などということがありえようか。

ありえるとすれば、
それは一個人に権限を集中させた
組織それ自体の罪である。

組織の罪でないとすれば、
一個人の無法な跋扈を放任した
各分野の責任者の罪である。

被告の罪を責めるなら、同時に、
彼らの罪も問われなければならぬ。
被告の弁護人たる本職、
帝国軍中将オスヴァルト・フォン・ミュンツァーは、
軍と法廷の真の威信を守るためにも、
被告の無罪を主張する。

明らかに、被告は、
彼自身の物にあらざる罪のために
不当な裁きを受けていると確信する故にである…… 

必ず上から腐りはじめる。

兵士レベルの退廃と腐敗はその目で確認したが、
社会や組織が下から腐食することは絶対にない。
必ず上から腐りはじめる。
歴史上ひとつの例外もないことは、
人間社会にあってはまれな法則性であった。

わたしが誰を愛したかということが重要なのですよ

お若い人、わたしが誰に愛されたか
ということは問題ではありません。

わたしが誰を愛したかということが重要なのですよ

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