李學仁/王欣太『蒼天航路』の名言集「感情をぶっ放さずしてなんの命だ!」

“乱世の姦雄”と呼ばれ、中国史上に巨大な悪名を残した英雄・曹操孟徳。
だがその破格な生き様は、天に愛された者のみが持つ輝きに満ちている。
この物語は、その輝きによって照らし出される新たな「三国志」である。
Amazonより

悪党には悪党の報いがある
お前の頭から皮を剥ぎとり足からは一寸刻みに肉を削ぎ
長い時間をかけて死に至らせる
そしてその男根の痕跡を人目にさらし
苦と惨と悲をからめて地獄におとす！

袁紹！　自らの名を旗に掲げた将において
勝機活路の九分九厘までは己の前方にあるのだ！

袁紹はどうであった
論ずるに及び申さん！
曹操はどうであった
論ずるに術がござらん

天に確たる意志などなく
地に確たる歴史もない
後世とは何か
前世に天意が消滅し
この董卓が誕生したことを知るのみだ

この痴れ狗共ぐぁ――ッ
戦に勝ち勇者をなぶり殺し
美女を犯し無差別に金銀を略奪するのはなんのためか――ッ
天下を奪いて天下にあるものが敵を選ぶとは何事だ――！

我が後方の敵はことごとく首を刈り取り
その首で塚を築けい
戦場で董卓の名を聞けば
それだけで臓腑を吐いて死ぬようにだ

なんと程よい鈍感さよ
それもまた天下をうかがう袁紹の器量だな

荀彧文若！　
ついにあらゆるものを見聞し
頭の中に天下をおさめて
しかも　それらをすっかり忘れて
戻ってまいりましたあ――ッ

今果つる時を迎えてみれば
何と悔いなき天命よ
おお！　快なり！！

許楮！
何人の家族と何人の貧民を食わせるために
賊となったかは知らぬ！
だがもし億で数える民を食わせることを考えるなら
ふたたびこの曹操に仕えろ！
以後の生涯ずっとだっ!!

求める民の声に応じずして抱くべき大義などない

我が身を休めることのできた親の廂がなくなった
これより先は酷薄なる白日の天下を歩むのみ
軍を動かすぞ
世に無法あらばそれを殲滅し
世が無法ならばそこに法をつくる！

天下万民!　我を尊ぶべし!
呂布!　おまえごときにわかろうはずはない!
およそ天下の悉くを自らの手に有し
天下の悉くを意のままにふるまい欲望・快楽を極め尽くす!
贅の限りをつくし
善悪さだかならぬ果てに届いてこそ尊重な王となるのだ!
我はその王の姿をかいま見たに過ぎぬ!!

曹操はなにゆえ曹操であるか!
曹操孟徳は天下のものである
曹操に天下を見るならば曹操のもとにおれ!!

そうかいそうかい
乱世ってとこはとりあえず借りちまった者勝ちなんだな
ってことは馬だけじゃまるで足りねえな
兵に武器甲冑軍師や参謀!　食いもん!　
それにそれを作る農民と農地!
都に天子!　全部!
おいらの器で借り上げちまえばいいんだな！

裁可は常にこの首で負うておる
夏侯惇は孟徳の天下へ一本道じゃ

我が体内の毒はこの節穴の目から出ていけい！！
これよりこの両足は不動の拠点じゃ

主は器　俺は中身の……武！
俺の武を毒した相手ならばお前を殺せば本望だ！
我が敵よ……名乗らずともよい
おお素晴らしき抱き心地だ
曹・操・殿！　
典韋・これにて失礼・仕る

天と地の間に
俺とお前以外の天下が戻ってきたようだ

次々と親愛なる者を失った身で歓喜の声を聞く
陰を背負い陽を前に抱く
王たるものの変わらぬ形か

皆に陰気が伝わる
曹操孟徳曰く　
自分の息子が斬り刻まれようと天下無双の忠臣を失おうと
生ある者はひたすら生きよ！
乱世の雄であれば他にいかなる道があろうぞ！

あんたが曹操を上回る器かどうかはわからん
しかし私の兄弟としては
あんたはいついかなる時でも誇れる男だよ
それだけで十分だとわかった
それだけで天下に行こうじゃないか

天下の大器を掌にのせてころがす心地よさよ！

気炎万丈、 夏侯惇軍の精鋭に告ぐ！
我が軍の力を推し量りに雑魚が来る
皆殺しにするぞ！

じゃっかぁしい！
おいらはもう半分は勝ってる！
呂布に降ってからこの獄中に至るまで
この劉備玄徳一瞬たりとも死ぬ気を感じなかったぜ！

呂布か
あれは絶世の美女だ
抜群の姿形をしており
気まぐれで聞き分けがなくひたむきで傲慢
自分の美しさを他と比較する気持ちすらない
抱きとめてやらなければとめようがない
まさに美しい女そのものだ

お俺は　そ　それほど強いか？
呂布殿は天下無敵でござる！！

わ　我はひとり
りょ　呂布なり――――

呂布　お前は美しい
すでにお前は伝説だ
曹操が付け加えるものは何ひとつない
曹操はお前の伝説以外に何もいらぬ
お前の時代は去った　天下は軍師の時代だ
おのれを知らぬままに何処から何処へと彷徨った男
呂布をこのままに縊り殺せ

劉備とは　天を知りて天に甘え
乱世に戦わずして乱世に乗り
ただ人を顧みて人心を抱えこむ！
まことにうっとうしい男だ！

最初の一撃を受け止めたのは天佑だろう
2度目の一撃を受ける時には
我が身中の天下を斬られるものかと思っていた
天佑をおのれの経験としたのだ
ただそれだけのことだ
張遼！
まだ見ぬ最強に戦慄するのが武の心であろう！
そう聞けば身震いするのが武に生きる者の本性であろう！
呂布を最強と見た者にまだ道は遠いぞ
我が軍に遺り最強の武を求めよ！

公孫瓚！　仮にも一族を率い
覇を唱えんとする者がおのれの志を子に託してどうする！？
覇業とは一世一代！
おのれの生涯にて完結させるものだ！
いかなる名門といえども親から子が受け継ぐべきは領土・兵力ではなく
覇者としての度量だけであろう！

はっは――公徳！　ホラ吹きといわれて生きるのもいいぞ！
地と人は手に入らんが空だけはいくらでも手に入る！

陳宮　再び曹操に仕えよ
この先は大戦だ
俺とともに歴史を刻め

涙を止めぬ者になお仕えよというか！
いいかっ俺が仕える主君には3つの条件がある
たちどころに答えてわが涙を止めてみよ！

ひとつ
人を治めつつ人を顧みぬ者
ひとつ
乱世を戦いつつ治世を始める者
ひとつ
天を知りつつ天意に叛くことを畏れぬ者

完璧だ
しかしこの陳宮は完璧なものを直角に曲げて答えを出す！
3つの条件をすべて兼ね備えた者には仕えぬぞ！
曹操！　お前は世の才物を躍起に集めておるが
その実お前は何者も必要としていない！

あの父親に乱世の処方をどれほど教わっているか

まず子が覚悟し次に女が覚悟する
主たる劉備玄徳は最後まで死を覚悟せぬという処方だッ

苛酷に生きることは苛酷に死ぬより
何倍も力が要るぞ

軍師なんてものはどうしようもなく戦が好きで
常に頭の中ではまだみぬ敵と
まだ知らぬ苛酷な戦を戦っているものだろうが!

これから先はおいらがただ生き存えるだけで乱世は深まり人が死ぬ
そのことを受け入れるのにもう躊躇はねえ
それもおいらの徳だ

何を言っとる？　
戦に出れば毎日が命の取り合いだろうが。
だいたいな、
感情をぶっ放さずしてなんの命だ!

こんなもんを食べなくてもあんたより長生きするぞお

健やかなのは知ってるがえらくまたきっぱり言い切るな

あんたより早く死んだらだれがあんたを護るんだあ？
あんたは長生きしてえのか？

妙なことを聞く奴だ。
俺が許楮より長生きしたら誰が俺を護るんだ？

ん　そりゃあそうだ

俺が人間であることを誰かがやめさせると言うのか!?

自軍の戦すら冷えた言葉で語る
おまえたちにはわかるまい!
同じ天の下 互いに拠る地を求め
かけずり回った男が招いている!
あの男が呼ぶから俺が征く!
俺と劉備は天の理を賭けて殺し合うのだ!