安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』が読みたくなる名言集

見知らぬ外国の塔の上から降ってくるかのような美しい音色が、
閉じ切った魂の外縁を撫でていた。
早朝の雨を思わせる柔らかな旋律が、
静かに心へ着地する。
その中心に辿り着けるのはもう、
音楽しかない。

音楽による癒し
っていうのは本当にあるんですよ。
どんなに疲れた人間の心にだって、
音楽だけは届くんです。
特にチェロの音域は、
人の声に一番近いんだって言われてる。

大人向けの音楽教室なんていうのは、
客商売だよ。
音楽家然としたプライドの高い人間には
務まらない仕事だろう。
どんな演奏に対してでも、
大変よくできましたね、と褒めて、
生徒を気持ち良くして
やらなければならないんだからね。

難しいのね、音楽で食べていくのは。
正確には、本人が納得のいく形で
生きていくことはとても難しい。

チェロという楽器は響きがすべてだ。
だから開放弦の一音だけでも、
美しく伸びやかに響かせることができるなら、
そいつはすごいチェリストなんだ。

仕事でやれって言われたことなら、
そりゃやるしかないだろうって。
自分の信条とか信念なんて、
組織の中では貫けないものなんだって。

善人ぶるつもりはないけど、
俺はそういうことはしないんだ。
女だって被ったことないし、
偉い奴の機嫌も取りにいかない。
それで損することだってあるけど、
それでいいと思ってる。
真意じゃないことを口にしたって、
自分の心が死ぬだけだから。

信頼を育てるのが時間なのだとしたら、
壊れた信頼を修復させるのも
また時間なのではと私は思います。
ただ、壊れた原因がご自身にあったのだとすれば、
きちんと誠意は見せて。