『志賀直哉』の名言集「苦しんで生々と暮らすべきだ」

大地を一歩一歩踏みつけて、
手を振って、いい気分で、進まねばならぬ。
急がずに、休まずに。

過去は過去として葬らしめよ。

人間が鳥のように飛び、
魚のように水中を行くという事は
はたして自然の意志であろうか。
こういう無制限な人間の欲望が
やがて何かの意味で
人間を不幸に導くのではなかろうか。
人知におもいあがっている人間はいつかそのため
むごい罰をこうむる事があるのではなかろうか。

下らなく過ごしても一生、
苦しんで過ごしても一生だ。
苦しんで生々と暮らすべきだ。

最初の子が死んだので、
私たちには妙に臆病がしみ込んだ。
健全に育つのが当然で、
死ぬのは例外だという前からの考えは変わらないが、
ちょっと病気をされても
私はすぐ死にはしまいかという不安に襲われた。

明日は、明日はと言って見たところで、
そんな明日はいつまで待っても来やしない。
今日はまた、またたく間に通り過ぎる。
過去こそ真だ。