吉川トリコ『余命一年、男をかう』が読みたくなる名言

がんになったら治療はしないって
最初からそう決めてたから。
生きることに未練はないし、
むしろ早めに人生を切りあげられて
ラッキーだと思ってるぐらいだよ。

うまくすれば一年、
多少延びたとしても
二、三年で死ぬという言質を医者から取れたら、
人はいくらでも大胆になれる。

お金のために結婚する人間が
この世にどれだけいると思う?
愛というオブラートでくるんではいるけど、
実際のところ結婚ってＭ＆Ａみたいなものでしょ?

生きる意味なんてそんなこと考えてるの、
よっぽどの暇人ぐらいだろ。
給料日にはうまいもん食って、
たまの休みに温泉行って、
観たい映画が公開されるのを心待ちにして、
そんぐらいの楽しみのために生きたってよくねーか?

治療したらお金なくなっちゃうよ。
このまま私といっしょにいるメリットがどこにあるの。
私が長生きしたら困るのはそっちでしょう?

死ぬことなんて、
私はなんにも怖くないはずだった。
生き続けなきゃいけないことを
むしろ怖れていたはずだった。
いまさらこんなの困る。

長く生きているといろんなことがある。
長生きは最高のエンターテイメントであり偉業だ。