平野啓一郎『ある男』が読みたくなる名言7選

必ずしも、現状に絶望していなくとも、
まったくの別人として生きてみたいというのは、
たった一度の人生を運命づけられている人間の、
ありきたりな願望ではあるまいか?

他人の傷を生きることで、
自分自身を保っているんです。
ミイラ採りがミイラになって。
嘘のお陰で、正直になれるっていう感覚、わかります?

真の悲観主義者は明るい!
っていうのが、わたしの持論なんです。
そもそも、良いことを全然期待してないから、
ちょっといいことがあるだけですごく嬉しいんですよ。

好きでしたよ、あの人。
純粋な目をしてたし、
苦労してきた人だから、優しそうだったし。
せっかくこの世界に生まれてきたのに、
こんな人生で終わるのは嫌だって気持ちが、
ひしひしと伝わってきて。

忘れようとしても、忘れられないですよ、
嫌な過去がある人は。
だから、他人の過去で上書きするんですよ。
消せないなら、わからなくなるまで、
上から書くんです。

未来のヴァリエーションって、
きっと、無限にあるんでしょう。
でも、当の本人はなかなかそれに気づけないのかもしれない。
僕の人生だって、ここから誰かにバトンタッチしたら
、僕よりうまく、この先を生きていくのかもしれないし。

やっぱり、他人を通して
自分と向き合うってことが
大事なんじゃないですかね。
他者の傷の物語に、これこそ自分だ!
って感動することでしか
慰められない孤独がありますよ。